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"月40万円を10年送った妻を捨てた夫の誤算" 第9話

今すぐにって通帳を記帳してくるわ」 幸子は必に自分に言い聞かせるように叫び、話を切った。 彦もスマートフォンを置いたが、胸の奥に黒くてたいが広がり始めていた。

駅のに着いた幸子は、息を切らしてATMのにった。 には以も放置していた古い通帳が握られている。 通帳記入のボタンを押し、械のに通帳を差し込んだ。

ジジジという文字を印字する音がく続いた。 何ページにもわたってしい記録がき込まれていく。 やがて械の音が止まり、通帳がてきた。

幸子はひったくるように通帳をに取り、かれたページを見た。 そこに並んでいた文字を見て、幸子の臓はねがった。 『振込 クミコ 40万』

目を疑った。何度見ても彦の名はない。 幸子は震える指でのページをめくった。 『振込 クミコ 40万』 さらにのページも同じだった。

、毎欠かさず同じに、百回もの、久美子の名が並び続けていたのだ。 に万円。で百万円。で千百万円。 それだけのとてつもない額を、あのな嫁が払い続けていたのだ。

「嘘よ……こんなの嘘よ」 幸子のから枯れた声が漏れた。 優秀な息子が自分たちを養ってくれていると信じていた。久美子はただ彦の稼ぎにぶらがっているだけの女だとっていた。

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ボロボロのを着ていたのもケチだったからではない。すべては自分たちのを守るためにを削っていたからだった。 「私、なんてことを……」 『あなたみたいな貧乏神はもうたくさんなのよ』という昨夜の自分の言葉が蘇る。

自分たちは、を支えていた番太い柱を自らので切り倒したのだ。 それも笑いながら、馬鹿にしながら。

そうだ、あの封筒。 幸子はハッと顔をげた。久美子が置いていったい封筒。 昇祝いだと言って渡された、しみのある封筒。あれをければ何か分かるかもしれない。

幸子は転がるようにへ向かってりした。 玄関にび込み、仏壇のに置かれたい封筒を震える両で掴む。 無理やりを引きずりした。

に入っていたのは現ではなかった。 数枚の綺麗に折りたたまれた類だった。 番にあったのは、から送られてきた通だ。 そこにはきな文字でこうかれていた。 『自送サービス解約完のおらせ』

幸子の目から涙がこぼれ落ちた。 久美子はあの夜、すでにすべてを終わらせる準備をしていた。 この封筒は昇祝いなどではなく、最通告だったのだ。もう度とおは払いませんという。

類のには、枚のいが入っていた。 丁寧な文字で、くこうかれていた。

『お世話になりました。毎万円の仕送りは今で終とさせていただきます。これからは優秀な彦さんのおでどうぞ幸せに』

りもみもない、ただの事実の通。 しかしそのたい文章は、幸子のにく突き刺さった。 「あああ……」 幸子はを握りしめ、畳のに崩れ落ちて声をげて泣いた。

温泉旅にこうと浮かれていた自分がどれほど滑稽だったのか。 すべてを失ってからようやく気がついたのだ。 はローンが払えずに差し押さえられるだろう。税も払えず活費すらない。

幸子は泣きながら彦に話をかけた。 「彦、久美子さんよ。久美子さんが全部払ってくれてたのよ」 話の向こうで彦が息を呑む音がした。

「千百万円よ。あの子が全部自分のおで払ってくれてたのよ。うちにはもうおがないのよ。来のローンはどうするの。のご飯はどうするのよ」 幸子の鳴のような声に、彦の声も微かに震えていた。

「俺だって今がパニックなんだ。俺の座だってほとんど空っぽなんだよ。のローンとクレジットカードの支払いで今もギリギリなんだ」 その言葉を聞いて、幸子は絶望のどん底に突き落とされた。

「あんた部になったんじゃないの。お料がたくさんあるからしい奥さんをもらうって……」

「料はがったけど使うもいんだよ。実のローンまで払えるわけないだろう」

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