"月40万円を10年送った妻を捨てた夫の誤算" 第8話
私のを無駄だったと吐き捨てた彦。 彼らの勘違いした態度は、で完全に終わる。
の朝。吉沢のリビングはるい差しに包まれていた。 幸子は嫌よくをいながら、お茶をんでいる。 テーブルのには、級温泉旅館のパンフレットが広がっていた。
部の奥にある仏壇には、私が渡したあのい封筒が置かれている。 「今度の旅で使わせてもらうわね」 そう言って、毎封筒を眺めてはんでいたのだ。
そんな穏やかなを破るように、リビングの話が鳴った。 ジリリリリというけたたましい音だ。 幸子はし面倒くさそうにちがり、受話器を取った。
話の主は、いつも利用しているの担当者だった。 「実は本引き落とし予定の宅ローンにつきまして、座の残がしておりお引き落としができませんでした」 幸子は瞬、何を言われたのか理解できなかった。
「ええ、残?何かの違いじゃありませんか。うちの座には毎息子からたっぷりおが振り込まれているはずですよ」 幸子は得げにそう言ったが、担当者の声は申し訳なさそうだった。
「今はどなた様からもお振込みの記録がございません。現の座残は千百円となっております」 幸子の笑顔がぴたりと止まった。
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「千円……そんなはずないでしょう。毎万円入ってくるのよ」
「何度確認いたしましてもお振込みはされておりません。このままですと今の宅ローンが未納となってしまいます。なるべくく座へ入をお願いいたします」 話が切れ、ツーツーという音がリビングに響いた。
どういうこと? 幸子は慌てて財布を掴み、をびした。向かったのは所のコンビニにあるATMだ。 震えるでキャッシュカードを入れ、残照会のボタンを押す。 画面に表示された数字は、のが言った通り「千百円」だった。
幸子ののが真っになった。 宅ローンだけではない。今末には固定資産税も災保険の引き落としも待っている。 「どうしよう、がなくなってしまう」 幸子はひどく慌てて、彦の番号を急いで押した。
その頃、彦は会社のデスクでふんぞり返っていた。 昼休みになり、若い恋とスマートフォンのメッセージでやり取りをしている。 『今度の週末、しいソファを見にこうね』という甘いメッセージを見て、彦はニヤニヤと笑っていた。
そこへ、母親の幸子からの着信があった。 「もしもし。母さんどうしたんだよ」 嫌にた彦のに、幸子の叫び声がび込んできた。
「彦、あんた今のおはどうしたの。から話があったのよ。
今はおが入ってないから宅ローンが引き落とせないって」 彦は全くが分からず首を傾げた。 「仕送り?俺がいつそんなもの振り込んだんだ」
幸子の声がぴたりと止まった。 「だから俺は毎仕送りなんかしてないぞ。のローンなんて親父が払ってるんだろう」 話の向こうで、幸子が息を呑む音が聞こえた。
「彦、あんた何を言っているの。このずっとあんたが毎万円振り込んでくれていたじゃない」 彦はで笑った。 「万?俺の遣いがに万円だったのに、どうやって万も払うんだよ」
い沈黙が続いた。 幸子の震える声がようやく聞こえてきた。 「じゃああの万円は、誰が振り込んでいたの」
誰って? 彦もその、初めておかしなことに気づいた。 自分の座にはブランドのスーツやのローンが残っており、貯なんてほとんどない。 もし自分が払わなければならないとしたら、どうやって払うのか。
「おの管理は、全部久美子に任せていたからな……」 彦のからその名がた瞬、ののにたい事実が突き刺さった。
「まさか」 幸子が震える声でつぶやいた。 「あの貧乏臭い久美子さんが、毎万円も?そんなはずない」
「あの女にそんながあるわけないだろう」 彦は声を荒らげた。 自分の稼ぎでべさせてやっていた無能な妻。
そんな彼女がを払っていたなどと認めたくなかった。
「そうだわ、きっと何かの違いよ。