"4000円を頼んだ私に、死んだはずの父から4000万円" 第13話
母は、私のをく握り返した。
「奈。世はきっと、私が豪に捨てられたれな女だとうだろう。条の親族も、そうやって自分たちを正当化してきたはずだ。でもね、違うんだよ」
母のから、誇りに満ちた言葉が紡ぎされた。
「私はね、あのに入れなかったんじゃない。私から、入らなかったの」
息が止まりそうだった。
「あんたを、者のの子として育てたくなかった。と引き換えに誇りを売り渡して、誰かの顔を窺いながらきるようなにしたくなかった。だから私は、で厨にち続けた。定をいて、あんたを自分の腕本でわせてきたんだ」
母の目から、筋の涙がこぼれ落ちた。
「でもね……あんたに『父親はんだ』と嘘をついたのは……私のさだよ。あんたがきくなって、条の富を見た、私の選んだこの貧しい暮らしをむんじゃないかって……それが、ぬほど怖かったんだ。ごめんね、奈……あんたの父親を、あんたから奪ってしまって」
「お母さん……」
私の目からも、ボロボロと涙がこぼれた。母のさくなったを、両で抱きしめる。
母は負けて逃げしたのではなかった。、巨な権力と財力をに、たったで自分の尊厳と、私の未来を守るために戦い抜いたのだ。その傲骨の代償として、の過酷な労働と、貧しさを背負いながら。
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「もう謝らないで」
私は涙を拭い、母の目をしっかりと見つめ返した。
「私、お母さんの娘でよかったよ。油の匂いが染みついたエプロンを着て、毎懸命ご飯を作ってくれたお母さんの娘で……本当によかったとってる」
母は元を震わせ、子供のようにしゃくりあげて泣いた。隣で、悠が静かに目を押さえていた。
病の窓のから、み始めた朝のが差し込んでいた。、私たちのに横たわっていた暗い澱が、ようやく静かに溶けしていくのをじていた。
母の精密検査入院が始まった翌の午。私と悠は、桜町駅くの雑居ビルにある、さな税理士事務所のドアを叩いた。
の紹介で予約を取った、資産税と相続を専にする初老の税理士、柴田先と向かいう。
テーブルのには、私のスマートフォンの画面を印刷した入細と、条正隆から送りつけられた箔の封筒、そして杉浦弁護士の名刺が置かれていた。
柴田税理士は老鏡の位置を直し、類を丹に見つめた、くため息をついた。
「奥さん。単刀直入に申しげますが……この千万円は、今この瞬、極めて危険な『発弾』です」
「発弾……ですか」
悠がを乗りして尋ねた。
「ええ。相方は『支援であり、返済義務はない』とで説しているようですが、本の税法、そんな都の良い解釈は通用しません。
法な契約もなしに、個から個へ突如として振り込まれたは、全額が『暦贈与』とみなされます」
柴田税理士は卓を叩き、無慈な数字を弾きした。
「千万円の贈与税率は、最税率にいパーセント。控除額を引いても、来のまでに、あなたが国税に納めなければならない贈与税は……約千百万円です」
「いっ……千百万!?」
私の喉から、鳴にい声が漏れた。
「使っていようがいまいが、受け取って座にある以、納税義務はあなたに発します。もしらずに放置していれば、税務署から無申告加算税と延滞税を課され、最悪の、財産の差し押さえです」
背筋が、サーッと音をててたくなった。千万をもらってぶどころか、瞬で千万円い税の借を背負わされるところだったのだ。
「さらに問題なのは、条正隆氏が末期がんであるという点です」
税理士は声を落とし、厳しい表で続けた。
「本の民法では、被相続がくなる(現法では段階に最)以内にわれた贈与は、相続財産に持ち戻して計算されます。さらに、条氏にはの親族……例えば、昨乗り込んできたという姪の理氏のような推定相続がいる。彼らには法律『遺留分』という最限の遺産取り分が保証されているのです」
「遺留分……」
「ええ。