みかん小説
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"十日間の偽出張と冷めた半熟卵" 第2話

画面をさらにへとスクロールしていく。彼がをてから目の朝、彼から届いたいメッセージが目に留まった。

『今、な会議だ。で話するよ』

しかし、その「で」という言葉を、私は今まで丸も待ち続けなければならなかったのだ。

彼がボストンバッグを持ってをた最初の、私には何の疑いもなかった。に何度も入る、彼のいつもの張のつだと信じ切っていた。

私は張夜、浄器のフィルターをしいものに交換し、ベランダのパキラにたっぷりとを与えた。そして玄関で、「夜はえ込むから温かいジャケットを持っていってね」と声をかけた。

彼はいボストンバッグを肩にかけ、玄関の扉をける際、私の頬に軽く唇を寄せた。その唇はどこかたく、乾いた触だった。

「仕事がく片付けば、週以内には戻るよ」

夫は穏やかな笑みを浮かべてそう言った。私は頷き、「無理しないで、仕事に集してね」と送りしたのだった。

だが、となって目の午、私のタイムラインに桜の投稿が流れてきたのだ。

写真は、病棟の廊の突き当たりにあるきなガラス窓を捉えたものだった。夕暮れのが窓枠を縁取っていた。

添えられた文章は、淡々としていた。

『ここの差しは、本当に切。にほんのしのしか許されないだから。

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いつも傍にいてくださって、ありがとうございます。弘部』

私は「弘部」という文字を、穴がくほど見つめた。画面をスクロールしようとする指が、直してかなかった。

社内で、部たちは彼のことを通常「弘さん」や「代表」と呼んでいるはずだった。入社してわずかヶの米秘である桜だけが、コメント欄で彼を親しげに「弘部」と呼び始めたのだ。

私は胸騒ぎを抑えきれず、彼女の過の投稿を過へと遡った。頻繁に常を晒すタイプではないようだったが、過ヶの枚ほどの投稿のうち、、枚はらかに夫のを匂わせるものだった。

『昼休みに、部がオフィス全員に話題のカフェのキャラメルラテをご馳してくれた。甘くてばしくて、やっぱり最』

『夜半まで残業。部は区の自宅なのに、オフィスがある港区から私のまで回りしてで送ってくださった。申し訳ないけれど本当に優しい』

『クライアントの急な仕様変更で会議が混乱。部が夜までチームを引っ張って乗り切った。先にって決断するの部は、本当に輝いている』

そして最の投稿が、あの病院の写真だった。私はスマートフォンを伏せ、リビングの窓辺に置かれた観葉植物を見つめた。

週にを吸いげた葉は、青々としてみがあり、瑞々しい沢を放っていた。

私は静まり返ったリビングで、彼女の投稿の文面をので反芻した。

「しっかりしなさい、美咲」と、私は自分自に言い聞かせた。

「何か正当な理由があるはずよ。今取り乱して問い詰めて、適当な言い訳で煙に巻かれたら、あなたがで過剰反応した滑稽な妻になるだけよ」

午を回った頃、スマートフォンのバイブレーションが鳴った。親友のゆいからの着信だった。画面をタップすると、彼女の活な声が響いた。

「美咲、元気? 旦さんの張、いつ終わるの? 曜に座にしくできたレストランを予約したから、たまには贅沢して夕でもべにかない?」

私はしのを置いてから答えた。

「弘さん、今帰ってくるのよ」

話の向こうで、ゆいが秒ほど沈黙した。そして、探るような、微かな疑を孕んだ声で尋ねてきた。

「……あなた、本当に彼が張にっていたと信じているの?」

私はスマートフォンの側面をぎゅっと指先で押し込み、元だけにい笑みを浮かべた。

「信じるか信じないか、それが今の段階でそんなにかしら。とにかく、無事にに帰ってきさえすればいいのよ」

「美咲って子は、本当に……」

ゆいは受話器の向こうで、もどかしそうにさく息を吐いた。

「昔から何でもで抱え込もうとするんだから。私だったら、とっくに怪しい現を突き止めて問い詰めてるわよ」

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