"妻の浄水器は粗悪品、義母のキッチンには84万円" 第14話
「……これ、何だ」
掠れきった、消え入りそうな声だった。
「これからの、私たちの活のルールよ」
私は箇条きにされた項目を、指先でつずつ指し示した。
「つ。今をもって、私のパート代を活費座に入することは切やめます。私の与は、設する私個の座に全額振り込ませます」
「……なっ」
「つ。賃、費、通信費などの固定費は、すべて完全折半にします。折半用の引き落とし座を設し、双方が毎同額を入すること。費も完全に分けます。あなたの事は、あなたが自分ので調達してください。私はもう、あなたの飯は作りません」
「お、おい……そんなの、活がちかないだろ! 俺の遣いが……」
「つ」
私は夫の狼狽を完全に無して、言葉をねた。
「あなたが個に作った借、リフォームの違約、お義母さんへの仕送り、互換品のカートリッジ代、そのすべての個支について、計からの補填は円たりとも認めません。すべて、あなたの個の与からで支払ってください」
「美……待ってくれ、頼むから! 急にそんなこと言われたって、俺の料だけでリフォームの残や違約を払ったら、毎カツカツで……!」
「つ」
私はを乗りし、夫の目を真っ直ぐに見据えた。
「あなたの隠し座の全容、クレジットカードの細、現の正確な貯蓄額を、今週の曜までにすべて示すること。
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もし隠し借や、これ以の正な流用が発覚したは……そので婚届を提します」
私はの末尾を指さした。
そこには、私の署名と、すでにしく作った個印の鮮な印が押されていた。
「サインしなさい」
「……美」
夫の瞳が激しく揺れ、唇が惨めに痙攣した。
「そんなの……そんなの、夫婦じゃないだろ……! 助けうのが夫婦じゃないのかよ!?」
助けう。
その言葉を、この男がにするのか。
私はで最もたい、底れない軽蔑の笑みを浮かべた。
「助けう? あなたがやってきたのは助けいじゃない。ただの寄よ」
私は夫の胸ポケットからボールペンを引き抜き、乱暴にテーブルへ突き刺すように置いた。
「サインしなさい、浩さん。拒否するなら、今すぐ警察と弁護士のところへくわ。作業員の田さんが、がの浄器の写真を証拠として保全してくれているの。『故に配管を損壊し、妻に異物を摂取させた器物損壊と傷害の疑い』で相談に乗ってくれるそうよ」
夫の息が止まった。
その顔に、真の恐怖がった。
会社の営業マンとしての。
社内での世体。
所の目。
すべてを失う破滅の音が、すぐ元まで迫っていることを、夫はついに理解したのだ。
ガタガタと震える指が、テーブルののボールペンを拾いげた。
インクが掠れるほどい圧で、夫の名が署名欄に刻まれていく。
私はその無様な背を見ろしながら、ポケットのでしいの印鑑をく握りしめた。
奪われていたを、私のを。
ここから、円残らず、残らず、取り戻すのだ。
翌朝、目覚まし計が鳴るの午。
私は夫よりく起きがり、寝をた。
リビングの空気は、昨夜のの余韻でひんやりとえていた。
テーブルのには、夫の震えるでサインされた『計管理および活費分担に関する』が、昨夜置いた所のまま、静かに横たわっている。
私はそれをクリアファイルに収め、通勤用のトートバッグの奥くに滑り込ませた。
朝は、自分の分だけを用した。
トースト枚と、買ってきたミネラルウォーターで淹れたドリップコーヒー。
夫のために毎朝欠かさず作っていた妻弁当のアルミカップも、卵焼き器も、戸棚の奥に仕い込んだままだ。
午過ぎ、寝のドアが々しくき、夫がいてきた。
目のには濃い隈が張り付き、無精髭が伸び放題になっている。
昨夜の鳴り声の面はどこにもなく、線はをうように泳いでいた。
「……おい、美」
掠れた声が背に落ちてくる。
私は振り返らず、空になったマグカップをにつけた。
「……昨の話だけどさ。しをやして考えたんだ。おの言い分も、まあ、理あるとはう。