"妻の浄水器は粗悪品、義母のキッチンには84万円" 第10話
作業員さんに『こんな危険な、毎んでたんですか?』って聞かれました」
画面を見つめる義母の瞳が、恐怖で見かれた。
「私はヶ、そのをんでいました。夫はお茶を沸かす私を見ながら、何も言いませんでした。『母さんのところの配管が古いから、正規品は母さんにやるのが当たりだろ』って、昨の夜、私を鳴りつけました」
「あ……あ……」
義母の喉から、声にならない呻きが漏れた。
先ほどまでの、誇らしげで品な「自の息子の母」の姿は、どこにもなかった。
両を震わせながら、義母は見積のコピーを掴み、穴がくほど見つめた。
「浩が……あの子が……そんな……」
「お義母さん。私は、あなたを責めに来たんじゃありません」
私は努めて穏やかな、しかし決して揺るがない声で言った。
「あなたが浩さんに『リフォームしてくれ』とねだったのではないことくらい、分かっています。あのは、ただ自分の見栄のためにやったんです。『親孝で、稼ぎが良くて、母親に自由をさせない派な男』という仮面を、あなたに見せたかっただけなんです」
義母の目から、ぽろぽろと涙がこぼれ落ち、テーブルの計簿のに染みを作った。
「でもね、お義母さん。あのがあなたに見せているその派な仮面は、全部、私の健康と、私の尊厳と、私の命を削って作られたものなんです」
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「美さん……ごめんなさい……私、何もらなくて……本当に、何もらなくて……!」
義母は両で顔を覆い、肩を震わせて泣き崩れた。
その姿を見ても、私の胸に湧きがったのは、復讐のなどではなかった。
ただただ、い虚しさと、れみだった。
歳になるまで女つで苦労して息子を育て、息子の成功を信じ、息子の優しさを誇りにってきてきたの女性。
その誇りすらも、夫の歪んだ自己顕示欲の具に過ぎなかったのだ。
「あの子……先週、ここに来たね……」
義母は涙を拭いもせず、震える声で絞りした。
「『来は、お呂をユニットバスに替えてやるからな』って……言ってたのよ……『すりをつけて、も滑らない最式にしてやるから、楽しみに待ってろ』って……」
私の背筋を、たい氷が滑り落ちた。
浴のユニットバス交換。
く見積もっても、百万円はらない事だ。
夫はまだ、やめる気など毛なかったのだ。
私からむしり取れるだけむしり取り、計を極限まで締めげ、自分の虚栄を満たすための「孝」を完遂するつもりだったのだ。
「美さん」
義母が顔をげた。
その目には、先ほどまでの怯えや混乱ではなく、かつてで息子を育てげた頃の、険しく厳しいが宿っていた。
「このキッチン、今すぐ業者に言って元に戻させます。あの子からのおも、全部突き返します」
「お義母さん、度取り付けた設備を元に戻すのは難しいですし、違約も取られます。それはしなくていいです」
「いいえ! こんな血の滲んだようなで、私がきできるわけがないでしょう!」
義母はちがり、リビングの話に向かって股で歩いた。
「許さないわ。あの子がやってることは、親孝なんかじゃない。ただの棒よ。嫁の財布からを盗んで、母親の嫌を取るなんて……そんな卑怯な男に育てた覚えはありません!」
義母は受話器を引っこ抜くように掴み、猛烈な勢いでプッシュボタンを叩き始めた。
私はその背を見つめながら、静かに息を吐きした。
戦いは、ここからだ。
自分のを、自分の元を、すべてにけ渡してきてきた。
そのツケを清算する夜が、すぐそこまで迫っていた。
義母の指がプッシュボタンを激しく叩く音を、私は背から制止しなかった。
だが、受話器のスピーカーから流れてきたのは「現、波の届かない所にあるか、源が入っていないため……」という無質なアナウンスだった。
夫は回りの最か、あるいは私からの追及を恐れて源を切っていたのだ。
「……ないわ」
義母が悔しそうに受話器を置き直した。
肩がりとけなさでさく震えている。
私は義母に向き直り、努めて静に言った。
「お義母さん。今の夜、浩さんが帰宅したあと、もう度話をかけてもらえますか。