"13年前に消えた母の手帳に、夫の昔の名前があった" 第7話
泣き叫ぶ夫を見ろしながら、私は体の芯から温もりが完全に消え失せていくのをじていた。
このは、自分が何を言っているのか分かっていないのだ。
「ねえ、修平さん」
私の声は、驚くほど静かだった。
「あなた、毎梨へって、何をしていたの?」
「え……?」
「私が警察署にってる、かつての目撃報を探してる……あなたは、私が真相に辿り着かないように、ずっと見張ってたんでしょう?」
夫の呼吸が止まった。
「2018に私が『倉庫を探そう』って言った、あなたは言ったわ。『あそこにはいないよ』って」
「それは……」
「あなたが番怖かったのは、母が見つかることじゃない。母がどこでんだのかを、私がることだったのよ」
夫は何も言い返せなかった。 ただ、見かれた目から粒の涙をポロポロと零している。
「10、俺たちの活は全部嘘だったのか……? あんなに笑いって、あんなに楽しかった々も、全部無駄だったって言うのかよ、美奈!」
すがりつくような、魂の叫び。
私は、の薬指にはまっていたプラチナの指輪を静かに引き抜いた。 そして、類のに、ことりと置いた。
「本当だったがあるからこそ、あなたの嘘が怖いの。」
私は荷物をまとめ、度も振り返ることなく玄関のドアをけた。
背から私の名を呼んで泣き叫ぶ夫の声を、たい夜ののに置きりにして。
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そので、私は駅のビジネスホテルに駆け込み、翌朝番で弁護士事務所へ向かった。
父がりいを通じて紹介してくれた、刑事事件と民事の双方にいベテランの弁護士だった。
帳のコピー、伝票、島さんの誌の写し。 そして、昨夜私が夫との会話を密かに録音したスマートフォンのデータを提示した。
弁護士は険しい表でそれらの証拠を精査し、机を指先で叩いた。
「川さん。これは単なる失踪事件ではありません。な刑事事件の隠蔽、および体遺棄の疑いが極めて濃です」
「警察は、いてくれるでしょうか……。ものことです」
「かします。幸いにも、あの業団の解体事は現だ。もし倉庫の敷内に何かが隠されているとすれば、で掘り返されてしまえば度と証拠はてこない。今すぐ梨県警に乗り込み、緊急の現保全と捜索を申してます」
そのの午、私と弁護士は梨県警察本部のにある捜査第課の部にいた。
、私と父が何度も通い、そのたびに「しい報はありません」とをげられ続けてきた所。
だが、今回は違った。 提された音声データと誌のコピーを見た捜査員たちの目のが、瞬で変わった。
「……宮本修平。当の専務ですね」 「本が、晦に被害者を倉庫へ案内したと自しているのか」
内をび交う号のような指示。 区画理を担当する甲府の都計画課、事を請け負うゼネコンへの緊急連絡。
「解体事を即止させろ! 現を封鎖する!」
、ピクリともかなかった分い現実の壁が、音をてて崩れ始めた瞬だった。
。 の空の、たい枯らしが吹き荒れる旧業団。
かつて佐藤の会社が使っていた材倉庫の周囲には、何台ものパトカーと鑑識両がずらりと並んでいた。 ち入り禁止を示す黄い規制線テープが、に煽られてバタバタと気な音をてている。
巻きに見守る野次馬と報陣の向こう側で、私と父は、震える体を寄せってっていた。
敷内には、型のが台、唸りをげて待していた。
鑑識課の捜査員たちが、面にいチョークで幾もの格子模様を描いていく。 そのを、輪のついた角い箱のような械――レーダー探査が、ゆっくりと滑っていく。
「美奈……」
父が私のコートの袖を、痛いほどく握りしめた。 父の髪混じりのは、たいに乱れ、その横顔は分も老け込んだように見えた。
「お母さんは、本当に……こんなたいところにいるんだろうか」
私は答えられなかった。 ただ、父ののに自分のをね、祈るように現を見つめ続けた。
午過ぎ。 探査を押していた捜査員のが、ピタリと止まった。