"「次男にこの家を譲ります」義母が宣言したのは私名義の家だった" 第13話
その、私のパソコンの画面に、本のメールが着信した。 送信者は、義弟の亮介だった。
件名は『義姉さんへ。お詫びと、お願い』。
「ちゃん、し待って。亮介さんからメールが来たわ」
『え……亮介から?』
本文をく。 そこには、これまでの稚拙な言い訳とは異なる、追い詰められたの絞りすような言葉が綴られていた。
『義姉さん、本当に申し訳ありませんでした。 今、リース会社と商社の担当者がに来て、設備の引き揚げと債務の再編について正式な協議に入りました。械は失いますが、の規模を縮し、従業員を解雇せず、般備に特化して細々と返済を続けていくを選びました。
母さんと兄貴は、まだ諦めていません。 母さんは親戚に話をかけて義姉さんの悪を言いふらし、兄貴は「どうにかして美咲を連れ戻す」と息巻いています。は、まだ義姉さんのを当てにしています。
俺は、もうの嘘に付きうのは限界です。 義姉さん、度だけ、全員で顔をわせて話すを作っていただけないでしょうか。 俺がっていること、兄貴と母さんが裏で何を話していたのか、全部そので話します。 俺自のから、義姉さんのを度と当てにしないと誓います。 どうか、お願いします』
メールの文字を、私は静かに見つめた。
「……ちゃん」
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『うん?』
「終わりにするが来たみたい」
私はデスクののカレンダーに線を落とした。 論でも、親族の同調圧力でもなく。 法と事実の鉄板で、彼らの醜い妄を々に砕するが。
「曜の午。私の顧問弁護士の事務所に、全員を集めるわ」
曜の午。 横浜駅にそびえつ層オフィスビルの、階。
面のガラス窓から横浜の並みと港が見ろせる、法律事務所の第会議。 を基調とした無質な内には、型の楕円形テーブルが置かれ、空調の微かな稼働音だけが静かに響いていた。
座には、私の顧問弁護士である梨先。 代半ばの、企業法務と産紛争を専とするベテランの女性弁護士だ。 その隣に、私。
対面に座るのは、。
やつれ果て、無精髭をやし、スーツの襟元も乱れた夫の健太。 作業着のからサイズのわないジャケットを羽織り、膝のに置いた拳を固く握りしめている亮介。 そして、派なのスーツにを包み、腕を組んで嫌そうに顎をげている義母の子。
義母は部に入るなり、級な革張りの子を見回してを鳴らしていた。 まだ、自分が優位にてると信じているらしい。
「わざわざこんな層な所へ呼びして、何のつもりなの?」 義母が、静寂を破るように甲い声をした。
「族の話しいに弁護士を同席させるなんて、どこまでを馬鹿にすれば気が済むの! 健太、あんたからも言ってやりなさい!」
健太はビクッと肩を揺らしたが、消え入りそうな声で「母さん、静かにしてくれ……」と呟くだけだった。
「静かにできるわけないでしょう! 亮介のは械を取られちゃったのよ!? 全部、この嫁が酷に突っぱねたせいじゃないの!」
「藤澤子様」
梨弁護士が、静かに、しかし鋼のようなみを持つ声で遮った。 類をめくるが止まり、鏡の奥の鋭い瞳が義母を捉える。
「本はな言い争いをするではありません。当職は藤澤美咲氏の正当な代理として、事実関係の確認と、法な権利関係の理のために皆様にお集まりいただきました。発言は当職の指示に従ってください」
弁護士の放つ徹な威圧に、義母は瞬気圧されたようにを噤んだ。 だが、すぐに忌々しそうに顔を背ける。
梨弁護士は、元のファイルを広げた。
「まず、第に確認いたします。横浜港区所のおよび建物について」 弁護士は、登記事項証をテーブルの央に滑らせた。 「所者は藤澤美咲氏。の売買により取得された特財産であり、婚姻費用や夫婦共財産とは法に切無関係です。抵当権、根抵当権等の担保設定も切しません」
「そんな類、見せられたってねえ!」 義母がすかさず噛みついた。 「私はんでるの! よ! 所のだって、あそこは藤澤の本だって認めてるわ! 美咲さんは『自分のだとってんでくれ』って言ったのよ! み続けて管理してきたに、何の権利もないなんて法が通るわけないでしょう!」