"「次男にこの家を譲ります」義母が宣言したのは私名義の家だった" 第12話
嫁が汗垂らして働いてに入れた産を、藤澤の都で換し、息子たちの負債の穴埋めに使い、最は自分のの処として差しさせる。 それが「男の嫁」としての当然の義務だと、のので信じ切っている。
の無償提供は、このにとって「謝すべき恩恵」などではなかった。 「藤澤がいつでも自由に処分できるパイの部」として、完全に誤認されていたのだ。
『居留守を使ってんじゃないわよ! てきなさい! 親戚にあんたのさを言いふらしてやるから! 健太と婚させて、文無しで追いしてやるからね!!』
ガチャリ、と乱暴に話が切れた。
部に、張り詰めた静寂が戻る。 私はスーツケースのハンドルを握りしめ、度だけく息を吐きした。
「……追いされるのは、あなたよ」
誰に聞かせるでもなく呟き、私はマンションの鍵を閉めて部をた。
そので、事務所のく――横浜・本通りにあるウィークリーマンションの契約を済ませた。 オートロック完備、防犯カメラ数。 誰にも居所をられない、私だけの全な拠点。
荷物を運び込み、デスクのにノートパソコンをいた瞬、ようやく喉の奥のつかえが取れたような気がした。
だが、戦いはまだ始まったばかりだった。
ウィークリーマンションに入って目の夕方。
広告
窓のには、横浜港のたいに吹かれる杏並が見えていた。
私のスマートフォンに、義妹のからメッセージが入った。 『嫂さん、今どこにいる? 話できる?』
すぐに通話ボタンを押す。
「ちゃん、どうしたの?」
『嫂さん、無事……? 健太兄貴から話があって、嫂さんがをてったって取り乱してて……』
の声は、ひどく疲弊していた。 京で働く義妹は、実の毒親と兄たちの無能さに、辟易していただった。
「ええ、私は丈夫。全な所にいるわ。健太さんとは、弁護士を通してしか話さないつもりよ」
『……うん。それがいいとう。本当にごめんね、嫂さん。あんな最な族で……』
「ちゃんが謝ることじゃないわ。それより、実の方で何かあったの?」
受話器の向こうで、がいため息を吐いた。
『実、もうめちゃくちゃだよ。昨の夜、亮介が実に乗り込んできて、母さんと鳴りいの喧嘩になったの』
「亮介さんが……?」
『うん。亮介、の械をリース会社に引き揚げられることになって、完全に腹を括ったみたい。それで、母さんに鳴り込んだんだって。「あんたが変な気をして、嫂さんのを譲るなんて親戚ので言いしたせいで、俺は完全に信用を失った!」って』
の話によると、事態は私の像以に醜悪な内讧へと発展していた。
亮介が母親を激しく問い詰めた結果、義母の隠された惑がすべてのに晒されたのだという。
義母は、ただ次男の困窮を救うためにを譲ろうとしたわけではなかった。 老朽化がみ、階段のりりすら膝に響くようになった広い軒。 でみ続けることに限界をじていた義母は、亮介に「を丸ごとやる」という破格の餌をぶらげることで、次男をあのに同居させ、自分のぬまでの介護と活費の面倒をすべて亮介に押し付けようとしていたのだ。
『亮介はね、が危ないから、最初は「を担保に入れてを借りられるなら」って甘い考えを持っていたの。でも、母さんは「担保じゃなくてそのものをやるから、私をぬまで養え」って迫ってきた。亮介の奥さんだって、母さんと同居して介護なんてんでも嫌だって反対して……結局、の利害が真っ向から衝突したのよ』
亮介はを延命させたかっただけ。 健太は自分の連帯保証債務を妻の資産で揉み消したかっただけ。 義母は自分の老の介護を、嫁のを付にして次男に売りつけたかっただけ。
「みんな、自分のことしか考えていなかったのね」
『そうよ。全員が自分の欲望のために、嫂さんの善を踏み台にしようとしたの。でも、嫂さんが歩も引かなかったから、その企みが全部破綻して、今はお互いに責任を擦り付けってる。
……本当に、醜いよ』
は吐き捨てるように言った。