"「次男にこの家を譲ります」義母が宣言したのは私名義の家だった" 第10話
催告の抗弁権も、検索の抗弁権もない。
亮介が倒産すれば、千万円の債務は、翌にはすべて夫の個座、与、そして将来の退職へと容赦なく請求されるのだ。
「先、亮介さんの返済が滞り始めて、リース会社からあなたの携帯に督促が来たのね?」
私は夫を歩歩、理な断台へと追い詰めていった。
「もし亮介さんが破産すれば、連帯保証であるあなたも括返済を求められる。払えなければ、あなた自が自己破産するしかない。与は差し押さえられ、会社でのも失い、信用報はブラックになる」
夫の額から、粒の汗がボタボタとテーブルに落ちた。
「あなたは、弟を救いたかったんじゃない」
私は吐き捨てるように言った。
「親族ので母親に『を譲る』と芝居を打たせ、私を精神に追い詰めて担保を提供させようとしたのは――私のを質にしてから追加融資を引きし、自分自の連帯保証債務をもみ消したかったからよ」
「違う……! 俺は……!」
「何が違うの!?」
私の鋭いが、プレハブの事務所を震わせた。
亮介がを塞ぎ、夫がガタガタと震えながらずさる。
「私の婚資産を犠牲にして、自分の保を図ろうとした! 私が断ると分かっていたから、親戚を巻き込み、母親の虚栄を利用し、私から選択の自由を奪おうとした! それが、あなたの『族の絆』の正体じゃないの!!」
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夫は喉をヒューヒューと鳴らし、言葉を探すようにを閉させた。
だが、類というかぬ証拠ので、どんな言い訳もをなさなかった。
静まり返ったに、械油のたい匂いだけが漂っている。
私は震える夫の瞳を、まっすぐに見据えた。
の結婚活の終わりを告げる、決定な言を突きつけるために。
「健太さん。最につだけ答えて」
夫が怯えたように、私を見げる。
「あなたが守りたかったのは、弟なの? ……それとも、自分が連帯保証になったことを、私にられない未来なの?」
夫は何も言えなかった。
ただ両で顔を覆い、子供のようにそのに崩れ落ちた。
その姿を見ろしながら、私ので、かけて積みげてきた「夫婦」という名の砂のが、音をてて完全に崩壊していった。
崩れ落ちた夫の背を、私はただややかに見ろしていた。
械油の染み付いたたいコンクリートのに両膝をつき、両で顔を覆って刻みに震える歳の男。 設備販売会社の営業課として、では部に威張り、親族のでは「頼れる男」の仮面を被っていた夫の、これが紛れもない正体だった。
かつてした面など、どこにも残っていない。 そこにあるのは、自らが招いた保の破綻に怯え、妻の善を踏み倒そうとして失敗した、れな男の抜け殻だけだった。
「……兄貴、嘘だろ……」
亮介が、魂の抜けたような声で呟いた。 オイルで黒く汚れた作業着の胸元を力任せに掴み、兄を見ろしている。
「俺……兄貴が保証になってくれた、本当に謝したんだぞ。兄貴は『美咲にも話してあるから配するな。兄弟なんだから当たりだ』って、そう言ったじゃないか……!」
夫は両のに顔を埋めたまま、嗚咽交じりに首を横に振るだけだった。
「言えるわけないだろ……! 美咲に言ったら、絶対に反対されるに決まってたんだ! おの事業計画を見せろ、資繰り表をせって、たい目で詰められるに決まってたんだよ! 俺は……俺はただ、兄貴としておを助けてやりたかっただけなんだ!」
「助ける?」
私のから、気のような声が漏れた。 事務所の空気が、さらに段、氷点までがる。
「相談すれば反対されると分かっていたから、黙って実印を持ちしてサインした。そしていざ焦げ付きそうになったら、今度は私の婚資産を勝に抵当に入れようとした。それがあなたの言う『助ける』なの?」
夫は答えない。ただ、背を丸めて震え続けている。
私はバインダーの具をパチンと鳴らして閉じた。 その乾いた属音に、の男がびくりと肩をねさせる。
「亮介さん」
「……は、はい」
「約束の朝は過ぎました。今すぐ、商社とリース会社に話をかけなさい」
亮介の顔が、恐怖で引き攣った。
「『所者である義姉から正式に担保提供を拒絶されたため、産の差し入れは能である』と、事実をありのままに伝えなさい。