"「お母さんのところに行きたい」9年後に届いた娘の声" 第7話
そしたら、お母さんからの着信履歴が、全部着信拒否に設定されてた」
内のクラシック音楽が、酷くくに聞こえた。
「拒否されてるってことは、お父さんが遮断してるんだって、そのはった。 だから私、お父さんに内緒で公衆話からお母さんの携帯にかけたの。 になって、バイトも始めて、しは自由になれるとったから。……でも、繋がらなかった」
結の目に、急速に涙が溜まっていく。
「呼びし音は鳴るのに、誰もなかった。回かけても、なかった。 その、私ので何かがぷつんと切れたの。 ……あぁ、本当にお父さんの言う通りだったんだって。 お母さんは、私からの話にる気もないんだって。 だからあのをいたの。これ以、惨めになりたくなかったから。 お母さんに捨てられるに、私の方から捨ててやろうとったの」
声が震え、結はテーブルのに両を突いて顔を伏せた。
私は息ができなかった。 公衆話からの着信。 元の番号からの話を、忙しい仕込みの最に、あるいは営業の厨の騒音ので、どれだけ見落としてきただろうか。 折り返すこともせず、「違い話だろう」と処理してしまった着信のに、あの子の最のSOSが混ざっていたのだ。
「……結」
私は震えるで、バッグの奥から通の古い封筒を取りした。
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誠さんから預かった、歳と歳の結がいた。
「誠さんから、これも預かってきたの。……読んでもいい?」
結は涙で濡れた顔をげ、驚いたように目を見張った。 自分がかつていた、届かなかったはずの便箋。
「……覚えてない。何をいたか、もう……」
「歳ののにはね」
私は封筒から、し黄ばんだ便箋をそっと引きした。
『お母さんへ。 しい学のくに、すごく美しいメロンパンのおを見つけました。 今度会う、絶対に買って持っていくね。 お母さんの作ってくれた唐揚げが、々すごくべたくなります』
結の息が止まった。
「歳ののには……こういてあった」
私は枚目の便箋をいた。文字が滲んで乱れていた、あの通。
『お母さん。 もし、もう私に会いたくないなら、はっきりそう言ってほしいです。 私、ずっと待ってるのが、番つらいです』
内の静寂のに、の擦れる乾いた音だけが響いた。
「結、私はね」
私はバッグから、最の品を取りした。 角がすり切れ、皮が剥げかけた、の黒いスケジュール帳。
パラパラとページをめくり、ある付のところで指を止めた。 結が歳になった、あのののページ。
私は帳を、結の目のに差しした。
そこには、ボールペンで、震えるような文字が記されていた。
『() 結の誕。 菓子でショートケーキを買った。 宮までったけれど、修司さんから「結は友達とかけて留守だ」とメール。 渡せなかった。 アパートに持ち帰り、でべた。 ごめんね、結。おめでとう』
結の線が、その数の文字に釘付けになった。
「……え」
結のから、掠れた声が漏れた。
「……ケーキ、買ってたの?」
「毎買ってた」
涙が私の頬を伝い、テーブルクロスに落ちた。
「会えないって言われても、毎、結の誕にはケーキを買って、狭いアパートのテーブルに置いて、でロウソクをててた。 歳のあのも、宮の駅のロータリーで、箱が崩れないように抱えて待ってたの。 でも、修司さんから『結はもう友達と約束があるから来るな』って言われて……。 あの子が友達と楽しく笑っているなら、私の惨めな姿を見せて邪魔をしちゃいけないって、自分に言い聞かせて帰ったの」
結の瞳から、粒の涙がぼろぼろと溢れした。
「私……その」
結は両で元を覆い、嗚咽を漏らした。
「私、その……、自分の部にいた。 お父さんには『友達と遊んでくる』って嘘をついて、部に鍵をかけて……ずっと、話を待ってた。 お母さんが『おめでとう』って、言だけでも言ってくれるのを、暗い部で、携帯を握りしめて……夜のまで、ずっと待ってたの……!」
の告が、のを経て、初めて同じ空でなりった。
悪によって歪められた言葉の裏で、私たちは同じに、同じ痛みを抱えて、お互いを求めいながら絶望していたのだ。