"私を笑った義母が、帰り際に「結婚しないで」と手紙を残した" 第11話
全の血が、瞬で沸騰し、次の瞬に凍りついた。
あの男にとって、母親のの苦血は、同の対象ですらなかった。 「女とは、最終にこうやって踏み躙り、従わせればいい」という、都のいい成功体験のサンプルに過ぎなかったのだ。
「私……自分のを、すべて否定された気がしました」
千鶴さんは胸元を掻きむしるようにして泣いた。
「私が耐えてきたのは、庭を壊さないためだった。息子に惨めないをさせないためだった。でも……違った。私が耐えれば耐えるほど、あのには『女はいくら踏みつけても壊れない』という例が積みがっていくだけだったのよ」
千鶴さんの嗚咽が、静かな内に響く。
「あの子はね、美穂さん。親父たちに怯えているんじゃないの。親父たちのやり方を、番正しい『男の特権』として受け継ごうとしているのよ。あの子がになったら、あのはもっと酷くなる。自分を脅かすを、絶対に許さない男になるわ」
私はテーブルのに置かれたたいをみ干した。
千鶴さんの告は、パズルの最のピースだった。 なぜ直が、親戚ので私を庇わなかったのか。 なぜ「祖父の次は父、その次は俺がになる。それまでしろ」と言い放ったのか。
あの男は、被害者面をしながら、自分が玉座に座るそのを舌なめずりして待っていたのだ。
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「お義母さん」
私はちがった。
「教えてくれて、ありがとうございました」
「美穂さん……逃げて。お願いだから、逃げて」
すがりつくような千鶴さんの線を背に受けながら、私は度もち止まることなくをた。
逃げる? 違う。
私は逃げるんじゃない。 私ので、私のから、あの男を叩きすのだ。
午。 私は直のむ烏丸条のマンションのにっていた。
オートロックを解除させ、エレベーターで階へがる。 部のドアをけると、直はリビングのソファで缶ビールをんでいた。
テーブルのには、先ほどのホテルの表が広げられたままだ。
「なんだよ、美穂。親父たちに無断で帰るなんて、常識疑うぞ」
直はテレビから目をさず、気怠そうに言った。
「、親父に話して謝っとけよ。俺がに入って、なんとか取り成してやるからさ」
私はリビングの央に歩み寄り、バッグをテーブルのに静かに置いた。
「直。確認したいことがあるの」
私のい声に、直はようやくビールの缶を置き、眉をひそめて振り返った。
「まだその話? もう疲れたって言ってるだろ」
「つ、質問するわ。つでも誤魔化したら、そので警察を呼んででも荷物を引き払うとって」
直の顔から、嘲笑が消えた。 私の異様な気迫に圧されたのか、警戒するように構える。
「……なに」
「つ目。結婚、以内に私を部の実へ転居させる計画は、まだきているの?」
直の喉仏が、ピクリといた。
「つ目。私の事務所を縮、あるいは廃業させて、実の業の伝いや介護に専させるつもりなの?」
「つ目。子供の産期や数を、あなたのお父さんやおじいさんの向に従わせる気?」
「つ目。将来、あなたの両親の介護が必になった、部の施設を使わず、すべて私に無償で背負わせるつもり?」
息をつくもなく畳み掛ける私の言葉に、直の呼吸が荒くなっていく。
「そしてつ目」
私は直の先を指差した。
「あなたのおじいさんや父親が、私に対して当な求をした、あなたは自分ので、彼らを公然と拒絶できる?」
静寂が、部を押し潰すようにく垂れこめた。
直は唇を噛み、線をに落とした。 拳をく握りしめ、肩をらせている。
「……誰に聞いた」
く、濁った声だった。
「誰に聞いたんだよ! 母さんか!? あの女、余計なことペラペラと……!」
「誰から聞いたかなんて関係ない」
私は歩踏み込んだ。
「事実なの? そうじゃないの? 答えなさいよ!」
直がカッと目を見き、ソファから勢いよくちがった。 缶ビールが倒れ、テーブルクロスに黄い液体が広がっていく。
「事実だよ!」
声が部に響き渡った。
「事実で何が悪いんだよ! 俺は森川のの男なんだぞ! いずれあのも、業も、親父たちの残した資産も、全部俺が引き継ぐんだ! 実に戻って親の面倒を見るのが、男の嫁として当たりの義務だろ!」