"私を笑った義母が、帰り際に「結婚しないで」と手紙を残した" 第3話
積みげてきたものが、たった数で元から崩れっていく覚。
(私、誰と結婚しようとしていたんだろう)
優しくて、私の仕事を誰よりも応援してくれていた直。 でも今見たあのは、権な祖父と父親ので縮こまり、その理尽をすべて未来の妻に肩代わりさせようとする、ただの卑怯者だった。
い体を引きずり、ようやく部の照をつけた。 え切った体を温めようと、着ていたウールのコートを脱ぐ。
ハンガーにかけようと持ちげたとき、のポケットに違を覚えた。 布が、カサリとさく鳴ったのだ。
鍵かハンカチでも入れっぱなしにしただろうか。 無識にポケットの奥へ指を差し入れた。
指先に触れたのは、くて角いの触り。
引きしてみると、それは見覚えのないさない封筒だった。 郵便番号の枠もない、のひらに収まるサイズの品な封筒。
(……え? なにこれ)
自分の私物ではない。 かける、コートのポケットにはスマートフォンとリップしか入れていなかったはずだ。
今で、このコートにづけた。 玄関のコート掛けに並べて掛けられていた。 あるいは、あの台所で、背をすれ違ったあの瞬——。
喉がゴクリと鳴った。 臓の鼓が、急激にねがる。
封筒には封がされておらず、が内側に折り込まれているだけだった。
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震える指先で、からつ折りにされたを取りす。
それは、いの箋だった。
黒い万でかれた文字は、わずかにに傾き、圧のさからいたのの震えが伝わってくるようだった。
そこには、たっただけ、言葉が綴られていた。
『お願いです。あの子とは結婚しないでください。』
『私と同じを、あなたに送ってほしくないんです。』
息が止まった。
文末に、さく添えられた署名。
——森川千鶴。
広で、親戚同ので私を「何もできない」と嘲笑した、あの義母の名だった。
「……っ」
を持つが、激しく震えた。
が、まったく分からなかった。
あんなに酷に私を笑い者にしたが。 座への配膳をし、たいで皿を洗わせたあのが。 なぜ、こんなを私のポケットに滑り込ませたのか。
『あの子とは結婚しないでください』 『私と同じを、あなたに送ってほしくない』
あの子とは、直のことだ。 自分の息子のことを、母親が「結婚するな」と懇願している。
ので、直の言葉がフラッシュバックする。 『母さんだって、ずっとしてるんだから』
千鶴さんは、してきたのだ。 以、あので、あの男たちの理尽に耐え続けてきた。 その結果が、昼のあの酷な振るいだったのか? それとも——。
え切った部の、ち尽くしたまま、の文字を何度も何度もなぞった。
罠なのか。 それとも、あのが発した唯の鳴なのか。
確かめなければ、息すらできない。 私は震えるでスマートフォンを握りしめ、今連絡先を交換したばかりの千鶴さんの連絡先をいた。
直には内緒で、とを押されて交換したメッセージアプリの画面。
文字を打つ指が、刻みに震える。
『美穂です。コートのの、拝見しました。お義母さん、どういうことですか。度、だけでお会いできませんか』
送信ボタンを押した瞬、部の静寂がに痛いほど響いた。 計の針は、夜零を回っていた。
既読はつかない。 眠っているのか、それとも悔して無するつもりなのか。
を机のに置き、たいを杯み干した。 それでも喉の渇きは向に収まらない。
分が過ぎ、分が過ぎた。 もう返信は来ないかもしれないと諦め、ベッドに倒れ込もうとしたその。
机ののスマートフォンが、く震えた。
画面が青くる。
通に表示された千鶴さんからの返信は、あまりにもく、そして切迫していた。
『息子には、まだ絶対に話さないでください』
画面を見つめたまま、指先が凍りついていた。
『息子には、まだ絶対に話さないでください』
それきり、画面は沈黙した。 問い返したい言葉は無数にあった。 どうしてあので私を笑い者にしたのか。
なぜ息子の結婚を止めようとするのか。