"私が外した保証人、身代わりは義母" 第10話
「敏さん」
『佳奈さん……あなた、あのから分かっていたのね……? あの子たちが、私のを狙ってるって……最初から、全部……』
受話器の向こうから聞こえる絶望の混じった問いかけを、私はただ、徹な静寂ので受け止めていた。
「……敏さん」
受話器を握る指先に、静かに力を込めた。
「落ち着いて、私の言うことを聞いてください」
『佳奈さん……』
「番で、法務局へってください。そして、ご自宅の登記事項証を取るんです。乙区……抵当権が設定されているかどうかの欄を、窓で職員と緒に確認してください」
『登記……? 証……?』
「あの子たちが勝に類を偽造して融関に持ち込んでいないか、確かめるためです。それから、武志叔父さんにち会ってもらって、弘さんに対して『いかなる担保提供も保証も拒否する』という内容証郵便を即座にしてください」
『内容、証……? 実の息子に、そんな……』
「それをしないと、あなたのはあのの見栄のために消えますよ」
容赦のない現実を、そのまま喉元に突きつけた。
受話器の向こうで、敏さんが息を詰まらせたのが分かった。
「で庇う段階は、もう終わっています。自分の活を守りたいなら、法な続きを取ってください。……それ以、私からお話しできることはありません」
通話を切り、スマートフォンの源を落とした。
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窓のでは、の宵がを濃紺に染めげていた。 部のには、蔵庫のい唸り声だけが響いている。
同も、憐れみも湧かなかった。 あの、私が数字の破綻を指摘した瞬、鬼の首を取ったように「息子のを邪魔するな」と罵ったのは敏さん自だ。
の忠告を「酷」と切り捨て、触りのいい嘘に縋りついた代償を、今になって自分ので払わされているだけに過ぎない。
翌週の曜、敏さんから「どうしても度だけ会って謝りたい」と懇願され、私は会社の昼休みに駅の喫茶へ向かった。
指定された奥のテーブルに座っていた老女の姿を見て、瞬、誰だか分からなかった。
いつも背筋を伸ばし、仕てのいいを着て世体を誇らしげに語っていた義母の面は、どこにもなかった。 髪は入れされずに乱れ、目のには黒々とした隈が落ち、着古したカーディガンの袖を所なさげに握りしめている。
テーブルのには、あのホテルで配られたという事業パンフレットが、皺だらけになって置かれていた。
私が向かいの席に腰をろすと、敏さんはビクッと肩をねげ、そのままテーブルに額を擦りつけるようにくをげた。
「佳奈さん……本当に、ごめんなさい……」
掠れた、震える声だった。
「私、あなたにどれだけ酷いことを言ってきたか……。
弘の言うことばかり信じて、あなたをたい嫁だと決めつけて……」
「敏さん、をげてください。周りの目があります」
淡々と告げると、敏さんは涙でぐしゃぐしゃになった顔をゆっくりとげた。
「法務局へきました。武志さんに連れてってもらって……登記は、まだ何もされていませんでした。あの子たち、本当にまだ続きもしていないのに、あのに『取得済』なんて嘘をいたのね……」
「ええ。社を信用させて資を引きし、を騙すためのハッタリです」
私はテーブルのパンフレットを指先で引き寄せ、ややかに線をらせた。
見慣れた私の財務フォーマットのに、由の浅な嘘がベタベタと塗りたくられている。 吐き気すら覚えるほど稚拙な類だった。
「武志叔父さんがに入ってくれて、司法士の先から弘に通を送ってもらいました。『切の担保提供を拒絶する。勝に名義を使えば告発する』って……」
敏さんは声を詰まらせ、ハンカチで元を押さえた。
「そしたら弘のやつ……話で、親に向かって鳴り散らしたのよ。『母さんのせいで全部めちゃくちゃだ! 親なら息子のためにの軒くらい差しせ!』って……あんな、あんな子じゃなかったのに……」
「いいえ。最初からそういうでしたよ」
私の声に、敏さんは息を呑んだ。
「結婚していた、あのはずっとそうでした。 自分の見栄と甘えのためにリスクをに丸投げして、都のいいは『信じてくれ』と言い、綻びがれば『支えがりない』と責めてる。