"私が外した保証人、身代わりは義母" 第9話
ステージのでワイングラスを掲げていた弘が、ぎくりときを止めた。
「母さん、何言ってるんだよ。今は歓談のだから……」
「これ、私のじゃないの!!」
敏さんはちがり、パンフレットをテーブルに叩きつけた。 陶器の皿がガチャンと鈍い音をて、周囲の親戚たちの笑い声がピタリと止まる。
「弘! あなた、私のを担保に入れる続きって……これ、どういうことなの!?」
弘は血相を変えてステージをり、母親の元へ駆け寄った。
「母さん、声がきいよ! この話しただろ!? ちょっと名を借りるだけだって!」
「話しただけじゃない! 私はまだ納得もしてないし、実印だって押してないわよ! なんで『取得済』なんてかれてるのよ!?」
由が顔を青ざめさせながら、慌てて割って入った。
「お、お義母さん、落ち着いてください! これはあくまでパートナーの方々にしてもらうための、形式な資料で……」
「形式って何よ!!」
敏さんの声が、静まり返った宴会の井に霊した。
「私のを勝に借のカタにして、何が形式よ! 佳奈さんが言ってたことは本当じゃないの! あの子は『を競売にかけられる契約だ』って言ってたわよ! あなたたち、私を騙してを取りげる気だったの!?」
佳奈の名がた瞬、弘の顔が引き攣った。
そして、その修羅を、徹な目で見つめていた男がいた。
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材卸の社だった。
社は静かにちがり、胸ポケットから鏡を取りすと、パンフレットの記載と、取り乱す敏さんの姿をややかに見比べた。
「林社」
く、い声。
「君は先週、ラウンジで私に言ったね。『母親からも原則な承をもらっている』と」
「に、社、これはその……親子のき違いでして、母がし勘違いを……」
「勘違いなものか!」
武志叔父さんが鳴りつけた。
「所者の承諾も印鑑証もない産を『担保提供済』として資料に記載し、資者や融関に見せる。弘、おがやってることはらかな虚偽説だぞ! 商法も詐欺紛いの為だ!」
社は、それ以何も言わなかった。 テーブルののグラスにを触れることもなく、自の鞄をに取ると、瞥して言い放った。
「資計画の根幹が虚偽である以、うちの800万の資も、材供契約もすべてに戻させてもらう。……失望したよ」
「社! 待ってください、社!!」
弘がすがりつこうとするのを、社はたく払いのけ、会をにした。
残されたのは、凍りついた親戚同と、真っな顔でち尽くす由。 そして、りと恐怖で過呼吸になりながら泣き叫ぶ敏さんだった。
「どうすんだよ!!」
弘が、今度は由に向かって鳴り散らした。
「おが『資料に済っていておけば、さんも納得するし母さんもパーティーの席なら断れない』って言ったんだろ!!」
「な、何言ってるのよ弘さん!?」
由が鳴のような声をげた。
「弘さんが『母さんには話が通じてるから丈夫だ』って言ったんじゃない! 私のせいにしないでよ!」
「おが煽ったんだろうが!」
郎婦の罵りい。 着飾ったの醜態をに、親戚たちは誰かばおうともせず、蜘蛛の子を散らすように席をち始めたという。
武志叔父さんは、ため息混じりに言った。
『……もう無茶苦茶だよ。敏さんは過呼吸で別に運ばれて、さっきようやく落ち着いたところだ。佳奈さん、おさんが婚のにあの事業からを引いた理由……今になって、痛いほど分かったよ。おさんは、この舟からで逃げたんじゃない。最初から、この舟の底に穴が空いてるのをってたんだな』
「……武志叔父さん」
『敏さんがね、おさんと話したがってる。代わるよ』
ガサゴソと受話器が擦れる音がして、数秒の沈黙の。
途切れ途切れの、しゃくりあげるような泣き声がに届いた。
『佳奈さん……佳奈さん、聞こえる……?』
あの、いつも誇らしげで、私を見すようにたい言葉を投げつけていた義母の声ではなかった。 ただの、怯えきった老の声だった。
『私……どうしたらいいの……。あの子たち、私のを……私のを、勝に……』
私は、ベランダから差し込む夕暮れのを見つめながら、静かに息を吸い込んだ。