"私が外した保証人、身代わりは義母" 第2話
「ただいま。今も打ちわせが引いてさ」
着を脱ごうとする夫のに、私はリビングのテーブルを指差した。
A4用にカラー印刷されたホテルの決済細と、あの万が写り込んだ写真。
「……何これ」
夫のが止まる。
「由と、いつから?」
私の声は、自分でも驚くほどく、平坦だった。
夫の顔から、みるみるうちに血の気が引いていく。
「……あ、いや、これは仕事の相談に乗ってただけで……」
「由のSNSよ。この万、あなたが毎肌さず持ってるやつよね」
言い訳を探して宙を泳ぐ線。 沈黙が、く部の隅々まで沈殿していく。
夫の喉仏が、さくした。
「……半、からだ」
認めた。
泣き叫ぶことも、テーブルの物を投げつけることもしなかった。 の結婚活が、ただの切れの束になって散らばっている。
「どうして……」 夫が掠れた声で呟く。
「取り乱さないんだよ。鳴ってくれた方が、まだマシだ」
「もう、る段階は通り過ぎたわ」
私はバッグから、本弁護士と作成した婚協議の通を取りし、テーブルの端に置いた。
「私のは決まってる。婚しましょう」
翌の午、由が私のマンションに駆け込んできた。
リビングに座り込むなり、粒の涙をポロポロと零す。
「お姉ちゃん、本当にごめんなさい! 私、どうかしてたの……弘さんが仕事で追い詰められてて、相談に乗ってるうちに、どうしても断れなくて……」
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子どもの頃から変わらない。 自分が利になると、真っ先に泣いて被害者の顔をする。
昔の私なら、その涙に騙されて抱きしめていただろう。 だが、今の私にはっぽい演技にしか見えなかった。
「由、って」
「お姉ちゃん……許してなんて言わない。でも、壊すつもりじゃなかったの」
「泣いても何も変わらない。弁護士を通して慰謝料の請求を送るから、署名して」
由の顔がサッと張った。 隣で俯いていた夫が、慌ててを挟む。
「佳奈、そこまでしなくてもいいだろ! 族ので弁護士なんて……俺が悪かった。もう度やり直せないか」
「やり直す?」
私はたく笑った。
「妹と寝ておいて、どのでそんなことが言えるの」
夫は言葉を失い、拳を握りしめてを睨みつけた。
話しいは完全に決裂し、続きはすべて代理を通すことになった。
数、本弁護士のオフィスで、夫の会社に関する財務状況の示資料を確認していたのことだ。
舗「会員制フレンチレストラン」の事業計画。 への融資事打診用に作られた最の類をめくっていた弁護士のが、に止まった。
「佳奈さん。これ、当たりはありますか?」
差しされたページの「資調達計画」。 そこには、私の目を疑うような記載があった。
『自己資・役員資予定:林佳奈 500万円』 『融関融資枠:連帯保証予定 林佳奈』
喉の奥が、ぎゅっと締め付けられた。
数ヶ、夫から「形だけでいいから資者に入ってくれ」「保証の枠を埋めたい」と頼まれ、私がリスクのさを理由に断固拒否した内容そのものだった。
夫は私の承諾を切得ないまま、融関への事提類に私の名を勝に組み込んでいたのだ。
「……私がサインを拒んだから、話がんだ段階で既成事実にして押し切る気だったのね」
指先がりで震えた。
妻を裏切り、妹に乗り換えようとしながら、しいの台には、その妻のと信用を勝に敷き詰めていた。
「本先」
私は顔をげ、はっきりとした調で告げた。
「婚協議の第1条に、追加してください。 私がこの事業に関与していないこと、資も保証も切わないこと。 そして、対なすべての資料から私の名を即座に削除し、融関へ訂正の通をすこと。 それをまない限り、協議婚には切応じません」
弁護士は静かに、力く頷いた。
「わかりました。徹底にさせましょう」
自分の元がどれほど脆い嘘のにっているのか、あのはまだ何も気づいていなかった。
本弁護士が作成した修正を突きつけられた瞬、夫は事務所の応接テーブルを拳で叩いた。
「婚するからって、ここまで徹底にやるのかよ!?」
顔を真っ赤にして叫ぶ夫の唾が、透なアクリル板に散る。