"初婚のはずの夫、新婚のベッドの奥に4年前の結婚写真" 第11話
嘘をついたのは悪かったけど、美咲に余計な配をかけたくなかったんだよ」
流れるような言い訳。 事に用していたかのような滑らかさだった。 普通なら、「そうだったんだ、複雑な事があったのね」と騙されてしまいそうなほど、堂々とした語り。
だが、私はもう、昨の私ではない。
「じゃあ、これは何?」
私はバッグから、枚目の類を取りした。 真由さんから直接受け取った、《定期建物賃貸借契約終についての通》のコピー。
それを、登記事項証の隣に並べて置いた。
健太の目が、信じられないものを見るように見かれた。 顔面から、急速に血の気が引いていく。
「な……んで、これをおが持ってるんだ……?」
「今、澤真由さんに会ってきたわ」 私の告に、健太のがワナワナと震え始めた。
「契約満は、来末。買い戻しの約束なんて切しない。あなたはただ、婚に猶予をもらって借りていただけの賃借よ。半にはこの終通を受け取って、来末には絶対にてかなきゃいけないことを、あなたはずっとっていた」
健太は子からちがりかけ、だがに力が入らないのか、ドサリと座り直した。 テーブルに置かれた通の「契約期満による退」の文字を、幽霊でも見るかのような目で見つめている。
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「退まで、あとか」 私は逃げを塞ぐように、言葉をねた。 「あとでけ渡さなきゃいけない部を、百万円かけてフルリノベーションする? 職を配した? 来週曜に着? ……健太さん、全部鱈目じゃない」
「違う、それは……!」
「何が違うの? あなたは最初から、この部のリフォームなんてする気はなかった。私の座から百万円を吐きさせる実にしただけよ。来末に退が迫ったら、何て言うつもりだったの? が急に理尽なことを言いした、が変わったから引っ越そうって、私の百万円を懐に入れたまま、私を次の処へ連れ回すつもりだったんでしょう!」
静まり返ったリビングに、私の告発が鋭く突き刺さった。
健太は両で顔を覆い、荒い呼吸を繰り返していた。 指の隙から覗く肌は、気に変している。
嘘が暴かれ、すべての退を断たれた特の、追い詰められた獣のような線が、私に向けられた。
「……あいつが、全部喋ったのか」 く、濁った声だった。
「ええ。真由さんは教えてくれたわ。あなた、に彼女と結婚したときも、まったく同じことをしたんですってね? 『の将来のため』『確実な運用のにするため』って言って、彼女のおを自分の元に集めようとして、拒絶されて婚した」
健太の肩が、びくっとねがった。
「私のにも、同じ被害者がいた。あなたは昔から、そうやって結婚相のおを自分のものにして、活を支配してきたのね」
健太はゆっくりと顔をげた。 そこにはもう、頼もしい夫の面も、反省のも、何つ残っていなかった。 剥きしになったのは、底れない利己と、い通りにならない相へのりだった。
「……何が悪いんだよ」
掠れた声が、リビングに響いた。
「は?」
「俺が何をしたって言うんだよ!」 健太は突然、テーブルを両で激しく叩いた。 器がね、赤ワインのグラスが倒れていテーブルクロスに無惨な染みを作っていく。
「俺は族のためにいてたんだよ! あの部をなきゃいけないのは事実だよ。でも、次の物件を買うための付がどうしても必だったんだ! 目黒にいい古マンションがてたんだよ! そこを買えば、俺たちの活はもっとグレードアップできた! そのとして、美咲のおを使おうとしたのが、そんなに罪なのかよ!」
信じられない。 この男は、まだ自分を正当化しようとしている。
「どうして最初からそう相談しなかったの? どうして初婚だと嘘をついて、この部が自分の持ちだと嘘をついて、リフォームすると嘘をついて、騙し討ちみたいにおを奪おうとしたの?」
「相談したら、美咲はをさなかっただろ!」
健太は目を血らせ、唾をばしながら私に詰め寄ってきた。
「おはいつだって堅実ぶって、を叩いてばかりだ! 『まだい』『もっと調べてから』ってし渋るに決まってる! 夫婦なら、夫を信じて全財産を預けるくらいの覚悟があって当然だろ! 俺はおの夫だぞ! なんでのあいつの言うことは信じて、夫の俺を信じないんだよ!」