"恩人の葬儀の裏で、夫は私の実家に値段をつけていた" 第12話
千葉へ戻る幹線ので、私はまず、以から当直先の病院で懇にしていた弁護士の携帯番号を呼びした。 婚と相続を専に扱う、信頼の置ける女性の先だ。
「先、今から事務所に伺ってもよろしいでしょうか。至急、相談したい案件があります」
京駅で総武線に乗り換え、そのままの法律事務所へ直した。 相談のい革張りの子に腰をろし、私はバッグから取りした類をテーブルのに並べた。
エステートの査定。 修が斎に隠していた資計画表のコピー。 そして、義姉の計簿と通帳。
弁護士の先は、鏡の奥の目を細めながら通り目を通し、静かに頷いた。
「結論から申しげますね。真理子さん、あなたが歩も引く必はありません」
先は元のペンをらせながら、確な事実をつひとつ指し示した。
「婚姻期であっても、相続によって取得した実の産や預貯は、民法の『特財産』です。ご主がどれだけ主張しようと、財産分与の対象には円たりとも含まれません。ましてや、ご主が勝にめた産売却やマンションの購入契約など、あなたには何らの法拘束力もありません」
「夫は、の共座のも、自分の裁量で使えるとい込んでいます」
「共名義の預についても、実質な原資が真理子さんの与である割をきっちり証します。
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ごください。即、受任通をご主の自宅と勤務先宛てに発送します。これ以、ご主があなたへ直接接触することは法に制限されます」
事務所をた、私は自宅には戻らなかった。
勤務先のクリニックから徒歩分の所にある、具付きのマンスリーマンションをそので契約した。 着替えと当面の活用品は駅ビルで買い揃え、与の振込座も、修が管理していたから、私単独名義の都へと変更続きを完させた。
すべてが終わったのは、夜のを回った頃だった。
静まり返ったワンルームのベッドに座り、マナーモードを解除した途端、スマートフォンが狂ったように震え始めた。
着信履歴、件。 メッセージの通は百件を超えていた。
最初は号だった。 『ふざけるな、どこにいる』 『今すぐ帰ってこい、恥をかかせる気か』
それが夜を過ぎる頃には、取り乱した焦燥へと変わっていった。 『真理子、頼むから話にてくれ』 『の朝、付の残額を振り込まないと、幕張の契約が流れてしまうんだ』 『違約が発する。俺の顔を潰す気か』
そして最は、見苦しい懇願だった。 『おがるのも無理はない。悪かった、謝るから』 『を売れとはもう言わない。ただ、マンションの連帯保証にだけ名をいてくれ』
画面をスクロールする私の指先に、何のも湧かなかった。
喉の奥がすっとえていく。
このは、最まで私のことなど見ていなかった。 見ているのは、に入りかけていた「最階の角部」と、同僚やに自するはずだった「級シニアライフ」という、っぺらなだけ。
私はスマートフォンの源を落とし、く息を吐きして目を閉じた。 ぶりに、誰の鼾も聞こえない、誰の顔も窺わなくていい静寂ので、私は朝まで度も目を覚まさずに眠った。
事態が決定な破綻を迎えたのは、そのの曜だった。
午。 クリニックの来診療が終わり、カルテの理をしていただった。 受付の護師が、青ざめた顔で診察に駆け込んできた。
「佐伯先……あの、待に、ご主が……」
のポケットにを入れ、呼吸をつ。 背筋を伸ばして待へ向かうと、そこには異様な景が広がっていた。
修だった。 仕ての良いはずのスーツは皺だらけで、ネクタイは曲がり、髪は乱れていた。 自血圧計の横に仁王ちし、受付のスタッフを鳴りつけていた。
「院をせ! 俺は佐伯真理子の夫だぞ! 妻が勤務に男弁護士と結託してしたんだ! 職としてどう責任を取るつもりだ!」
待に残っていたの患者が、怯えたようにを縮めている。 世体とプライドを何よりんじていた男が、昼堂々、妻の職で喚き散らしている。