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"恩人の葬儀の裏で、夫は私の実家に値段をつけていた" 第7話

「……あ、恐れ入ります。先、崎本町の藤本薬の物件について、査定をお願いしていた件でご連絡したのですが」

声が震えないよう、医師として篤な告をするのトーンを必に保った。

相は瞬息を呑み、すぐにトーンを段くした。

『あ、佐伯様の奥様でいらっしゃいますか! いつもご主様には変お世話になっております!』

ご主様には、変お世話になっております。 まるで旧の仲のようなぶりに、奥歯がガチリと鳴る。

「ええ、佐伯の妻です。夫から、様にお話を伺うよう言われまして。……現、話はどこまでんでいるのでしょうか?」

鎌をかけるようにく問いかけると、という営業マンは、待ってましたとばかりに淀みなく喋り始めた。

『はい! ご主様からは、の法がけ次第、奥様名義への相続登記を速やかに完させ、弊社の専任媒介で売りにすと伺っております。すでに隣で戸建て用を探されているビルダー様社に打診しておりまして、更にして引き渡せれば、千百万満額での買い取りにかなり向きな触を得ております!』

「……更渡し、ですか」

『ええ。ご主様のご向で、解体事はご主様のおりいの業者様を配されるとのことで、そちらの見積もりもすでに頂いております。

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ただ……あの、つだけ確認させていただいてもよろしいでしょうか?』

の声が、しだけ探るようなトーンに変わった。

「何でしょうか」

『奥様、先週、幕張のシニア向けマンションの販売センターの方へ、ご主様とご緒にかれましたでしょうか?』

全の血が、音をてて逆流するような覚。

「……いえ。まだっていませんが」

『あ、やはりそうでしたか! 実は昨、幕張のデベロッパーの営業担当からこちらに問いわせがありましてね。ご主様が購入申込を提されるにあたり、こちらの崎のの売却見込み証と、専任媒介の事承諾を添付したいとおっしゃっているそうでして……奥様の実印と印鑑証のご用がいつ頃になるか、確認してほしいと頼まれていたんです』

ので、何かがガラガラと音をてて崩れ落ちていく。

購入申込。 実印。印鑑証。

昨夜、修は私にこう言ったのだ。 『来週の曜、モデルルームの見学予約、名で入れといたから』 『見るだけならタダだろ?』

嘘だった。 見るだけなんかじゃない。 あの男は、とっくに購入を申し込み、私の承諾も得ていない実のを担保のように差しして、審査をめていたのだ。

「さん」

『あ、はい!』

「夫は、私から何と聞いてこの件をめていると言っていましたか?」

受話器の向こうで、が言葉を詰まらせた。

私の声のただならぬたさに、ようやく何かがおかしいと察したようだった。

『え、ええと……ご主様は、「妻は勤務医で激務のため、実の相続続きや産の売却、老の資計画に関する切の権限は、夫である私に委任されている」と……そうおっしゃっていましたが……』

「私は、夫に切の権限を委任していません」

乾いた、確な言を叩きつける。

『……は?』

「このは、先代である私の兄、そして義姉が涯をかけて守ってきたです。相続の調査も、遺産分割の続きも、まだ何も完していません。所権を持たないの単独の依頼で、勝に敷内を調査し、社の営業に売却見込みを流す為は、宅建業法、非常にな問題になりませんか?」

『あ、いや、奥様、滅相もございません! 私どもはあくまでご主様から、ご夫婦共通の事項としてご相談を受けていただけでして――!』

営業マンの引きつった弁を、私は容赦なく遮った。

「査定は私が回収しました。今、夫からの単独の問いわせには切応じないでください。もし私の面による同なしにこれ以かれるなら、県庁の産業指導課に正式に調査を申してます」

それだけを告げ、方に通話ボタンを押した。

スマートフォンの画面が暗転し、リビングに再びのような静寂が戻る。

ので、の名刺がぐしゃりと折れ曲がっていた。 爪が皮膚を突き破りそうなほど、拳をく握りしめていた。

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