"「農家の娘」を15分で追い出した義母の誤算" 第11話
親族たちの線が、刃のように私に突き刺さる。
私は鳴りもしなかった。 弁解して取り乱すこともしなかった。
背筋を伸ばし、座の畳のに両を揃えて、静かに礼した。
「お話しいただき、ありがとうございます。ですが、おじ様。事実と異なる点がつございます」
私の落ち着いた声に、義母の泣き声がピタリと止まった。
「まず第に、婚届をテーブルに叩きつけ、『15分以内にしてこい』と命じたのは、そちらの子さんです」
「な……っ!」 義母が顔をねげた。 「嘘をおっしゃい! 私はそんなこと……!」
「今週曜の午445分の録音データがございます」 私はバッグからスマートフォンを取りし、画面を叔父に見せた。 「音声の波形と、子さんの確な発言が記録されています。『息子の気が変わらないうちに席を抜きなさい』『いじりしか能がない女はさっさとを引け』と、はっきりおっしゃっています。再いたしましょうか?」
義母の顔が、瞬で青ざめた。
「そ、それは……あんたが頃から気だから、し懲らしめてやろうと……!」
「第に」 私は義母の言葉を容赦なく遮った。 「夫の会社の経営破綻は、私が逃げたからではありません。拓也さんの放漫経営と、個な資流用によるものです」
私はクリアファイルをき、叔父のへみた。 印刷してきた数枚の資料を、叔父のの座卓に静かに滑らせる。
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「これは、過の会社の納帳と、拓也さんの個座の照データです。拓也さんは、役員報酬とは別に、毎万円から万円の使途を『交際費』として引きし、特定の交際相――宮澤絵里さんへの当やブランド品の購入に充てていました」
座敷が、ざわりと揺れた。
親族たちの顔が変わる。
「さらに、主な荷主であった群馬の青果輸送ルートにおいて、度なる配ミスと温度管理の杜撰さにより、先までにすべての定期契約を解除されています。赤字を垂れ流していたのは型の無理なリースであり、それを隠蔽するために融関へ虚偽の試算表を提していました」
「拓也、これは本当か」 叔父の正が、のようない声で問い詰めた。 夫は畳に額を擦りつけたまま、ピクピクと痙攣し、何も答えられない。
「そして第に」 私は歩も引かず、最の枚を取りした。 「子さんは、拓也さんが『資産の令嬢と再婚して会社をて直してくれる』と信じ込み、私を追いそうとしました。ですが、その宮澤さんという方は、拓也さんに事業資として百万円を騙し取られた被害者です。すでに弁護士を通じて内容証が届いており、詐欺での刑事告訴が検討されています」
「う、嘘よ……!」 義母がちがり、私を指差して叫んだ。
「あんたが適当な類をでっちげて、私たちを陥れようとしてるのよ! 正さん、騙されないで! この女は昔から、みみっちい計算ばかりしてを騙すような田舎者なんです!」
「……義姉さん、静かにしなさい」
正叔父の声は、く、しかし絶対なみを持っていた。 叔父は卓の類を枚枚、老鏡の奥の鋭い目で確認していた。 政で数、予算と契約の現を仕切ってきた男だ。数字の辻褄がっているか否かなど、目見れば分かる。
「……見事なものだな」
叔父が、く呟いた。
「帳簿の付け方、証憑の揃え方、融関への提類の矛盾点。……素の仕事ではない。林さん、君がひとりでこれを?」
「はい。創業期から以、私が夜に帳簿をつけておりましたので。数字を見れば、どこでおが消えているかはすぐに分かります」
「そうか」 叔父はく息を吐き、線をにいつくばる夫へ落とした。 その目は、もはや親族を見る目ではなく、祥事を起こした部を切り捨てる徹な裁判官の目だった。
「拓也。貴様、ここまで会社のを私利私欲で使い込み、取引先を欺き、あげくの果てに妻の実の財産まで勝に担保に入れようとしたのか」
「お、叔父さん……違うんです……! 俺は……会社を守りたかっただけで……!」
「黙れ!!」 叔父のが、座敷の障子をガタガタと震わせた。
「の丈にわぬ見栄を張り、に支えてくれた妻を蔑ろにし、破滅の寸まで嘘を塗りねる。