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"「農家の娘」を15分で追い出した義母の誤算" 第10話

「でなし」「呪ってやる」といった罵詈雑言が吹き込まれていたが、すべて録音データを保したで、無言で消した。

事態が決定な局面を迎えたのは、曜の午だった。

郵便受けに、速達の封筒が届いていた。

差の名を見て、背筋がわずかに伸びた。

『森田 正』

夫のき父の弟――つまり、夫にとっての叔父であり、群馬と埼玉にまたがる森田族の本筋を取り仕切る物だった。

元・県庁の部を務め、親族のでは最も厳格で、世体と法秩序に厳しい男。 義母も、この義理の弟に対してだけは、昔からががらなかった。

封のには、便箋枚。 毛のような達な文字で、簡潔に記されていた。

『拓也の会社の経営危、ならびに貴殿らの婚問題につき、親族同にて事実確認のを設ける。当事者として、午、本座敷へ参集されたし』

呼びされたのだ。

おそらく夫と義母が、本へ泣きついたに違いない。 「嫁が勝に婚届をし、会社の危を見捨てて実の資産を隠し持ったまま逃げした」とでも吹き込んだのだろう。 親族の圧力を使い、私を本の座敷に正座させ、群馬のを担保にすよう脅しをつける算段か。

私はを折りたたみ、机のに置いた。

逃げるつもりはなかった。

私はバインダーをき、過の納記録、夫が会社の座から私に流用していた伝票のコピー、そして昨届いたばかりの、ある「決定な証拠」

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をクリアファイルにまとめた。

すべてを終わらせるが、来たのだ。

曜の午。 埼玉の旧がち並ぶ沿いにある、森田の本。

い黒板塀に囲まれた敷にを踏み入れると、入れされた枯の庭と、な本が威圧するように聳えっていた。

玄関で案内を請うと、親族の女性がややかな線を向けてきた。 「どうぞ、奥へ」 声には、らかな侮蔑と警戒が滲んでいた。

案内されたのは、畳以ある広い座敷だった。

のには々しい掛け軸ががり、すでにほどの親族が沈痛な面持ちで座を占めていた。 座に鎮座しているのが、叔父の正だ。 髪交じりの髪に、皺のい額。彫りのい顔ち筋角張った顎を引いて、私を射抜くように見つめている。

そのすぐ斜め向かい。 座にい位置に、さくなって正座している夫と義母の姿があった。

義母は喪のようなな紺のアンサンブルを着て、ハンカチを目元に当てていた。 私が入した瞬、義母はハンカチのから、勝ち誇ったような鋭い線を瞬だけ送ってきた。

本の親族を方につけた。 これで、寄りのない農の娘を袋叩きにできる――そう確信している目だった。

夫はといえば、やつれ果て、無精髭を伸ばしたまま俯いていた。 まで着ていたブランド物のシャツではなく、仕ての古い、くたびれたスーツを着ている。

「林さん。よく来てくれたね」

正叔父が、く通る声でをいた。 あえて旧姓で呼んだのは、すでに役所での続きを把握しているからだろう。

「突然の呼びしで申し訳ない。だが、森田の板に関わる事だ。曖昧なままにしておくわけにはいかん」

座敷の空気が、張り詰める。

「拓也の会社が、来週にも渡りをし、倒産する見通しだという。……そして、その原因について、拓也と義姉さん(子)からはこう聞いている」

叔父の厳しい差しが、私に注がれた。

「君が突然、拓也の張に勝に婚届を提し、夫婦の共財産を持ち逃げした。さらに、会社を救うために必だった実の担保提供を方に拒否し、拓也を破滅に追い込んだと。……事実配偶者として、あまりにも勝な振るいではないかと、親族同、憤りを禁じ得ない」

周囲の親族から、いため息と、非難の囁きが漏れた。 「やっぱりねえ、から来たはたいわ」 「拓也さんがに」

義母がここぞとばかりに肩を震わせ、泣き真似を始めた。

「正さん……その通りなんです! この女はね、昔からうちのを見していたのよ! 息子の会社がし傾いた途端、のひらを返して逃げすなんて……! うちの息子が、どれだけこの女に尽くしてきたか! 農ので学のない女を、社夫にまでしてやった恩を忘れて!」

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