"「農家の娘」を15分で追い出した義母の誤算" 第7話
「な、何を……」
「創業したばかりの頃、最初にうちへの青果配送を任せてくれたのは、群馬の農協と、父の代からのりいだった青果の仲卸ですよ」
夫の目が、泳いだ。
「まみれの野菜を運ぶ仕事なんて儲からないと、あなたはいつも文句を言っていた。けれど、距の幹線輸送が況で全部切られた、会社を倒産から救ったのは、毎欠かさず航していたあの青果の定期便でした」
朝3、凍えるようなトラックの荷台で、荷規格かられたキャベツの段ボールを積み替えていたのは私だ。 保の温度設定が狂えば、数百万単位の損害賠償が発する。 傷みやすい葉物野菜の鮮度をどう保つか、候による収穫のズレをどう運ダイヤに反映させるか。 ドライバーたちにをげ、配を組み直していたのは、すべて私の仕事だった。
『おはので飯だけ作ってりゃいいんだ』
会社がし軌に乗ると、夫はそう言って私を事務所から締めした。 取引先の会には「もっと見栄えのいい連れが必だ」と言って、私を連れてくことを恥じた。 義母は「息子の稼ぎで贅沢な暮らしができてありがたいとえ」と、事あるごとに私を罵った。
だが、現実はどうだったか。
私が事務所をれてからわずかで、青果の配送ルートは杜撰な温度管理と度なる遅延で次々に契約を打ち切られた。
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代わりにをしたのが、見栄だけで買い揃えた型による、過当競争の距便。 燃料代の騰と速代の負担で、ればるほど赤字がる沼の経営。
「私が現をれてから、歩留まりの計算も、トラックの回転率の管理も、誰もやっていなかったでしょう。帳面だけを取り繕って、をごまかせるとっていたのですか?」
「だ、黙れ……! ったようなを利くな!」 夫が唾をばして叫ぶ。 「おはただのパートだろうが! 俺が社だ! 俺がリスクを背負って会社を回してきたんだ!」
その、リビングのテーブルので、けたたましい着信音が鳴り響いた。
夫のスマートフォンだ。 画面に表示された文字を、私は見逃さなかった。
【信用庫 融資課】
夫の喉仏が、きくした。 怯えきった表で、うようにしてリビングへ戻り、震える指で通話ボタンを押す。
「は、はい! 森田です! ……あ、いつもお世話になっております!」
必に作った営業用のい声。 だが、スピーカーから漏れ聞こえてくる相のトーンは、氷のように淡だった。
『森田社、先ほど御社の奥様……林織様より、保証契約の拒絶に関する類が届きましてね』
「あ、あれは違いなんです! 妻がし取り乱して、勝な真似を……!」
『違い、ですか? 林様からは婚届の受理証の写しも添付されておりますが。
……社、先の面談で、奥様の実の担保提供について『内諾を得ている』とおっしゃいましたよね?』
「それは……その、これから説得を……」
『当庫としては、な虚偽申告があったと判断せざるを得ません。曜の面談は止とさせていただきます。また、既の借入につきましても、信用保証協会と協議の、今の対応を検討させていただきますので』
「待ってください! 支! 支に取り次いでください! 今末の決済が……もしもし!? もしもし!!」
ブツッ、と無質なツーツー音がリビングに虚しく響いた。
夫のからスマートフォンが滑り落ち、毛のいカーペットのに転がった。
「ああ……あああ……」
両をにつき、夫はそのに崩れ落ちた。 背が、まるで空気が抜けたのようにさく縮んでいく。
「浩司……? 嘘でしょう……? 会社、どうなっちゃうの……?」 義母が震える声で息子の肩を揺さぶる。 「私のあの老ホームは……? 毎のお遣いはどうなるのよ……?」
「うるさい!!」 夫は義母のを乱暴に振り払った。 「母さんが! 母さんがあの、余計なことをして婚届なんて渡さなきゃ、こんなことにはならなかったんだよ!!」
「私のせいにするの!? あんたが絵里さんと結婚するから追いせって言ったんじゃないの!」
醜い擦り付けいが、狭いリビングで始まった。 26、私という共通の贄をいたぶることで保たれていた親子の絆が、利害の対によってあっけなく崩壊していく。