"「農家の娘」を15分で追い出した義母の誤算" 第6話
「取り消すつもりはありません」
秒の躊躇もなく、言葉を返した。
「お、自分が何をやったのか分かってないんだ!」 夫の声が再び裏返る。 「曜の10に、信と保証協会の担当者が会社に来るんだよ! 規融資の千万円! あれが実されなきゃ、今末の形が落ちないんだ! 会社が倒産するんだぞ!」
「っています」
「ってるなら、なんでこんな真似をするんだ!」
「あなたの会社の倒産と、私に何の関係があるのですか?」
静かに問いかけると、夫の顔から急速に血の気が引いていった。
「なんの関係って……おは俺の妻だろうが!」
「昨までは、そうでしたね」
私は背負っていたリュックサックをろし、から枚のクリアファイルを取りした。 その番に挟まれていた用を、夫の胸元へ突きつける。
役所の公印が鮮に押された、『婚届受理証』。
「昨の午458分に、正式に受理されました。私はもう、森田織ではありません。旧姓の林織です」
「そ、そんな切れ枚で……!」
「切れ枚ではありません。それから、もうひとつ」
私はファイルから、今朝アパートをるにコンビニのファックスから送信した、信託と信用保証協会宛ての通の控えを取りした。
『個根保証契約の締結拒絶ならびに配偶者属性の喪失に関する申告』。
式は、事に相談していた弁護士からに入れていたものだ。
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私の実印が、今しく改印した印とともに、鮮に捺印されている。
「先ほど、融資担当窓宛てに内容証郵便の発送続きを済ませ、先してファックスを入れました。『森田拓也氏の配偶者としての連帯保証契約には切応じない』こと、および『すでに婚が成し、計をにする親族ではない』旨を記してあります」
「……お……」
夫の膝が、ガクガクと刻みに震え始めた。
「お、何をしてくれたんだ……? に……保証協会に、そんなものを送ったのか……?」
「当然です。あなたが私の名を勝に保証の欄にきし、群馬の実のを担保提供財産として申請に記載していたことをっていましたから」
「担保……? 融資……?」 横で聞いていた義母が、恐る恐るを挟んできた。 「ちょっと浩司、なんの話なのよ? 絵里さんのお父様が会社を支援してくれるんじゃないの? なんでそんな、から借なんて……それに、この女の実のだなんて、あんな奥の畑、何のしになるっていうのよ!」
「母さんは黙ってろって言ってるだろ!!」
夫がを抱え、獣のような叫び声をげた。 だが、義母は引きがらない。
「なによ! 本当のことを言いなさいよ! 絵里さんは企業の令嬢なんでしょう!? あのがうちの会社を救ってくれるんじゃないの!?」
「救ってくれるわけないだろうが!!」
夫のから、ついに真実が爆裂した。
「絵里はただの派遣社員だ! 父親が会社経営なんて、母さんを納得させるために俺が適当に吹き込んだ嘘だよ! あいつの実は区のさなクリーニングだ! 円のも持っちゃいねえよ!」
玄関ホールが、を打ったように静まり返った。
義母の顔が、赤からへ、そして気へと目まぐるしく変化していく。 に持っていた『ロイヤル・ケア・ガーデン』のパンフレットが、カサリと音をててたいタタキのに落ちた。
「うそ……嘘よ……そんなの……」
義母の唇が細かく震え、そのにへたり込みそうになるのを、壁にをついて辛うじて支えている。
私は、崩れ落ちそうな親子をただ然と見ろしていた。
「……全部、っていたのよ」
私の静かな声が、凍りついた空に落ちた。
「あなたが異業種交流会で見栄を張って、会社が儲かっているふりをして彼女にづいたことも。会社の経費で毎数万円のブランド品を買い与えていたことも。試算表を見れば、使途の交際費がねがっていることくらい、すぐに分かります」
「お……帳簿を……」
「ええ、見ていました。20、ずっと私がつけていた帳簿ですから」
私は歩、夫に向かって歩みをめた。 夫が無識に、ずさりをする。
「あなたが『農の娘のくせに』とバカにしてきた私の実が、どうやってあの会社を支えてきたか、本当に忘れてしまったのですか?」