"姉の身代わりで謝罪したら「最初からあなたをご指名です」" 第24話
でも……」
松本さんは首を振った。
「違いました。川越で自分の気持ちをぶつけてくれた、ご実で毅然と鍵を返した、そしてあのパッケージの図面をプロとして描きげてくれた。私は、昔のいののあなたではなく、目ので自分のでっている、今の奈緒さんに惹かれていたんだと気づきました」
松本さんは、巾着袋を私ののひらのにそっと載せた。 分のが染み込んだ、柔らかい布のぬくもり。
「奈緒さん」
が、のを優しく吹き抜けていく。
「曇野に、来てほしいとっています。でも、私の仕事を支えるためではありません。奈緒さんが川越で続けてきたお仕事を、野の産業のデザインや印刷のコーディネーターとして、これからも続けていけるよう、私にできる限りの環境をえます。私の隣で、あなたのを、あなた自ので歩んでくれませんか」
喉の奥が、ぎゅっと締め付けられた。
結婚してくれ、という言葉よりも。 幸せにしてやる、という誓いよりも。 その器用で、誠実で、対等なプロポーズが、何千倍もく私の胸に刺さった。
私はのひらのの巾着袋を、両で包み込んだ。 歪んだ針目。 器用だった歳の私が、誰かのためにと願って刺した、さなツバメの刺繍。
あのから、随分といところまで歩いてきた。
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族の顔を伺い、自分の価値をゼロにして、誰かの引きて役として息を殺していたい暗。
けれど、私はもう、誰かの代わりを演じる必はないのだ。
「松本さん」
私は顔をげ、に目を細めながら、はっきりと言った。
「今の私、昔みたいにおとなしく言うこと聞かないですよ。見もたくさん言いますし、嫌なことは嫌だって、ちゃんと断ります」
松本さんは瞬驚いたように目を見張り、それから、声をげて笑った。
「それがいいんです。そういう奈緒さんが、いいんです」
広の向こう、裾の果園に、夕が静かにりていく。 くでの警笛が鳴り、川のせせらぎが夜の気を運んでくる。
私のスマートフォンには、もう誰からも理尽な着信は入らない。 実の族が今、どんなに暮らしているのか、私はらないし、る必もない。 彼らが彼らの選んだをきているように、私もまた、私が選んだを歩いている。
歳になるまで、私は自分が誰かの引きて役で、欠陥品で、代わりのための具なのだとい込んでいた。
けれど、違った。 切なのは、誰かに選ばれるのをじっと待つことじゃない。 自分の尊厳を自分で守り、自分のでち、誰と共にきるかを、自分ので選ぶことなのだ。
私は、誰かの代わりなんかじゃなくていい。
私は、私としてきていく。
その静かで揺るぎない確信が、夕暮れのので、私のをあたたかく、力く満たしていた。