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"姉の身代わりで謝罪したら「最初からあなたをご指名です」" 第17話

それでもこのたちにとっては、私は「好き勝に暮らしてきた居候」であり、が取れそうになれば「族のために切り売りする商品」に過ぎないのだ。

軽蔑されていたも、持ちげられている今も、本質は何つ変わっていない。 このにおいて、川奈緒というは、最初からしていなかったのだ。 あるのはただ、「都のいい具」という能だけ。

喉の奥から、乾いた笑いがこぼれそうになった。 りすら湧かなかった。 ただ、果てしない虚しさと、絶対なたさが、私の全を支配していた。

「……部に戻るね」

「ちょっと奈緒! 話はまだ終わってないわよ! の夜、松本さんに話して、結納の取りを……」

母の声を背に浴びながら、私はリビングをた。 自分の部に入り、静かにドアを閉め、鍵をかける。

カチャリというさな属音。 その音を聞いた瞬、私ので何かが完全に、音をてて断ち切られた。

もう、秒たりとも、このにいてはいけない。 このたちと族でいてはいけない。

私はクローゼットの奥から、印刷会社で余ったものを譲り受けて隠しておいた、折りたたみの段ボール箱を引っ張りした。

ガムテープを引きす。 バリバリという障りな音が、静まり返った部に響く。

私は、誰にも気づかれないように、静かに、淡々と荷造りを始めた。

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真夜。 のかりが消え、階から父のいびきが聞こえてくる。

私はクローゼットの袋の奥に押し込まれていた、古い桐の箱をろした。 にくなった祖母・登紀子の遺品が入った箱だ。

祖母がくなった、母と姉は「ろくな財産も残さなかった」と文句を言い、祖母が集めていた美しい端切れや芸具のくをゴミ袋に放り込もうとした。 私は泣きながらそれを止め、自分の部に引き取ったのだ。

箱の蓋をけると、防虫剤の樟脳の匂いとともに、懐かしい祖母ののりがちった。 には、祖母が用していたの編み針、糸切り鋏、そして擦り切れた布張りのノートが入っていた。

私はそのノートを膝のに広げた。

黄ばんだ方に、几帳面な祖母の文字で、布物の寸法や型のスケッチがびっしりとき込まれている。 ページをめくっていくと、ある見きでが止まった。

『信州・曇野 果実瓶用 巾着袋』

そこには、に松本さんのジャム瓶のために作られた、あの巾着袋の寸法が丁寧に描かれていた。 の取り方、紐の通しの始末、そして――ページの隅に、祖母の鉛きのメモがあった。

『奈緒が初めてで縫ったツバメの刺繍。糸の引き加減がまだいけれど、鳥の目がとてもききとしている。

この子は、の痛みが分かる優しいをしている。どうかそのが、誰かの都のためではなく、この子自の幸せを縫い止めるために使われますように』

文字が、涙で滲んで読めなくなった。

ポタポタと、ノートの余に粒の染みが広がっていく。 声をさないように、私は両でを覆って泣いた。

おばあちゃんは、分かっていたのだ。 私が実でどんな扱いを受けているのか。 私が自分の気持ちを押し殺して、族の顔ばかり伺ってきていることを、ずっと配してくれていたのだ。

『誰かのためではなく、奈緒自がから笑える毎のために』

祖母の遺した言葉が、暗ので確かなを持って私の胸を打つ。

私は涙を拭い、スマートフォンを取りした。 祖母のきのページを、ブレしないように丁寧に撮する。 そして、夜であることをためらいながらも、松本さんへのメッセージにその写真を添付した。

『夜分遅くに申し訳ありません。部の片付けをしていたら、祖母の古い芸ノートが見つかりました。あのの巾着袋の型と、松本さんのの名がいてありました。おばあちゃんは、あののことを本当に切にっていたみたいです』

送信ボタンを押す。 もう寝ているだろうとっていた。

だが、数秒もしないうちに、画面に『既読』がついた。

すぐに、松本さんからの返信が届いた。

『起きていらっしゃったんですね。写真を拝見しました。

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