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"「あの担当者はどこだ」社長の一言に凍る年下上司" 第18話

私は内ポケットから、あらかじめ用していた枚の面を取りし、テーブルのに滑らせた。

『職務定義変更および専職契約に関する申』

島が怪訝そうに類をに取る。

「私が会社に求めるポジションは、課ではありません。『点顧客技術統括兼若育成アドバイザー』です」

「技術統括……兼アドバイザー?」

「はい。営業第課、第課が顧客に提示するすべての仕様および納期設定について、事の現技術査定をい、承認を与える権限を私にください。現に無理をいる嘘の提案があれば、私はそれを却します。そして、若の営業部員を現に連れてき、図面の見方と職との対話の仕方を、から叩き込みます」

島は目を見張り、類の条項を読みめた。

「管理職としての権限はいりません。ただ、技術の良を守るための『拒絶権』と、現と顧客を繋ぐための『専職当』だけを求します」

島は、い沈黙の、く息を吐きした。

「……おは、本当に変わったな」

「変わったのではありません」

私はちがり、静かにをげた。

「かかって、ようやく、自分がこの会社で何をすべきに戻れただけです」

数ヶ。 桜の蕾が膨らみ始めた、かなののことだった。

本社の製造棟。 油と切削の匂いがち込める第プレスの片隅で、私はウエスをに、稼働を終えた研削盤のガイドレールを磨いていた。

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「あ、佐藤さん! ここにいらしたんですか!」

甲い声に振り返ると、今入社したばかりの入社員、が、まだシワつない真しい作業着を着て駆け寄ってきた。 には、客先から預かってきたという、油圧器の修正図面が握られている。

「営業支援のデスクにいらっしゃらないから、フロア探しちゃいましたよ。なんで佐藤さんみたいなベテランの先輩が、こんなところで械を磨いてるんですか? ほら、も真っ黒じゃないですか」

が無邪気に笑う。

「君。図面を見せてごらん」

「あ、はい! これ、来週のコンペです予定の提案なんですけど、課代理から『佐藤さんの判子をもらってこい』って言われまして……」

差しされた図面の隅を見ると、担当営業の欄に、さな文字で『田辺』と署名されていた。

田辺は今、営業支援課の平社員として、私のでから見積もりと積算のやり直しを学んでいる。 あの傲さは消え、まだ私と目をわせるにはぎこちなさが残るが、最は自分からにを運び、荒さんたちにをげて加を教えてもらうようになった。 は、すぐには変わらない。だが、現実の痛みをったは、しずつだが、確実に面にをつけるようになる。

図面を丹にチェックし、公差の厳しい箇所に赤ペンを入れる。

「ここ、荒さんに『旋盤の送り速度をし落としてくれ』って言添えて持ってきなさい。そうすれば、現は気持ちよく削ってくれる」

「えっ、あ、はい! ありがとうございます!」

は赤字の入った図面を切そうに抱え直すと、議そうに私の顔を見つめた。

「でも佐藤さん、議です。営業フロアのたち、みんな言ってますよ。『佐藤さんは昔、何億もの契約をで取ってきた伝説の営業マンだった』って。そんな凄いが、どうして偉い役職にも就かないで、毎現の臭い仕事ばかりしてるんですか?」

私はウエスでの油を拭い、目ので唸りをげる巨なプレス械を見げた。

ズン、ズン、ズン——。

規則正しい音が、の裏から骨を伝って、胸の奥へと力く響いてくる。

昨、自宅で妻の佳代が、笑いながら淹れてくれた温かいお茶のをいす。 『あなた、最、会社にくの顔がと同じになったわね』 そう言って笑った妻の顔に、もう何の配のもなかった。

歳。 役職はない。 派な名刺もない。 だが、今の私には、守るべき現があり、誇るべき仲がいて、信じてくれる顧客がいる。

私は作業着の袖についた鉄のを軽く払い、若い輩の肩をポンと叩いた。

「君」

「はい?」

「営業が売っているのはね、会議の綺麗な言葉や、数字の並んだスライドじゃないんだよ」

私は、に輝く、削りされたばかりの精密なピストンピンを指差した。

「ここで働く職たちのの平のタコと、決して嘘をつかない鉄の塊だ。それが分かれば、あんたもきっと、いい営業になれる」

は目を丸くし、それから、く納得したように真っ直ぐに頷いた。

「はい! 、ってきます!」

駆けていく若者の背を見送りながら、私は再びウエスをに取り、鉄のレールへと向かいった。

歳。 私の本当の仕事は、まだ始まったばかりだ。

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