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"「負けを認めろ」と言った義母が、産院で凍りついた日" 第13話

「か、母さん、落ち着いてくれ……! 俺は、ただ……!」

輔の目は完全に泳ぎ、額から粒の脂汗が吹きしていた。 嘘が、そのしのぎの言い訳が、のに晒されていく。 逃げのない公共の面で、を過ぎた男の虚飾が、枚ずつ剥ぎ取られていく。

だが、輔のからびした次の言葉は、そのにいた全員の像を絶するものだった。

追いつめられた輔は、あろうことか、すがるような目で静の両肩を掴んだのだ。

「母さん! 母さんが何とかしてくれるって言っただろ!?」

「……は?」

静のから、抜けな声が漏れた。

「母さんが『私に任せなさい』って言ったから、俺、彩にそう伝えたんだよ! 俺にはもうがないんだ! あの万だって真紀の座から勝に抜いただし、残りの万だって払えるわけないだろ! 母さんが退職を担保にしてをしてくれるって、孫の面倒も全部見てくれるって言ったから……! 母さん、頼むよ! あいつを説得してくれよ! 俺を恥かかせないでくれよ!!」

静まり返るロビーに、過ぎの息子の、醜悪な鳴が響き渡った。

静の体から、完全に力が抜けた。 ガクガクと膝が震え、支えを失ったようにそのによろめく。

自分が誇りにい、自し、すべてを捧げて甘やかしてきた「佐藤のの跡継ぎ息子」。 その実態は、浮気相にフラれた現実を受け入れられず、妻のを盗み、最には母親の財布と懐にすべてを丸投げして逃げ込もうとする、ただのれな寄虫だった。

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「あ……あ……」

静の喉から、言葉にならないヒュウヒュウという音が漏れる。 粒の真珠のネックレスが、震える胸元でしく揺れていた。

私は、歩にた。

の目のにち、バッグから取りした類――弁護士が作成した、財産分与と慰謝料の請求通を、輔の元へ静かに滑り込ませた。

「お義母さん。これが、あなたのした息子の正体ですよ」

私の声に、静が弾かれたように顔をげた。 その瞳には、かつて私をゴミのように見していた傲さは、欠片も残っていなかった。

ただ、自らが作りげた怪物の姿に怯える、惨めな老の絶望だけが張り付いていた。

「さあ、輔さん」

私は卓の数字を、もう度輔の目のに突きつけた。

「あなたが勝に作った百万の借。そして、私から盗んだ万円。……母親のスカートのに隠れずに、自分の力でどうにかしてみなさいよ」

輔のが、魚のように無様にパクパクと閉した。

線は私の元にある卓の数字と、元に滑り落ちた請求通のを、狂ったように往復している。 ロビーの静寂が、まるでい鉛のように輔の肩にのしかかっていた。

「ま、真紀……お、本気で言ってるのか? 弁護士なんててて、母親のでこんな……」

「本気よ」

私の声には、りすら混じっていなかった。 ただたく、平坦な事実だけを告げる。

「あなたが彩さんに約束した百万円。そのうち、私たちの共座から無断で引きした万円は、確な横領為よ。残りの万円をあなたがどう面しようと私のったことではないけれど、私たちの活費から円たりともさせるわけにはいかないわ」

輔の顔が、見る見るうちに気へと変わっていく。 額に浮かんだ脂汗が、本の筋となって頬を伝い落ちた。

「そ、そんなの……夫婦のだろ! 俺が毎汗垂らして働いたじゃないか! それを、子どものために使って何が悪いんだよ!」

「あなただけの稼ぎじゃないわ」

隣にっていた弁護士が、静かに歩へた。 内ポケットから取りした名刺を輔に差しすこともせず、事務な、しかし容赦のない声音で告げる。

「婚姻期に築いた預貯は、民法、名義の如何を問わず夫婦共の財産です。奥様のなく第者への贈与や支払いに充てた、財産分与において夫側の取得分から全額控除、あるいは法為に基づく損害賠償請求の対象となります。……すでにの取引細、およびあなたが署名捺印したの写しは保全済みです」

法という名の鉄板が、輔の逃げを完全に塞いだ。

「あ……あ……」

輔の喉から、みっともない掠れ声が漏れる。

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