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"四十八歳、二十五年の家事を「無職」と呼ぶ夫へ" 第16話

「……伝う?」

私の声は、く、静かだった。 けれど、部の空気を瞬で凍りつかせるには分だった。

「事を『伝う』? ……雅さん。あなた、まだそんなことを言っているの?」

夫のが、宙でピタリと止まった。

「自分の暮らす所のゴミを捨てるのが『伝い』? 自分のう飯を作るのが『伝い』なの? あなたは最初から最まで、このの活を自分のことだとっていないのね」

「い、いや、そういう言葉の揚げを取るんじゃなくて——」

「揚げなんかじゃないわ!」

初めて、私は声を荒らげた。 鳴りはしなかった。けれど、腹の底から絞りすようない響きが、夫を射すくめた。

「やり直そうですって? 冗談じゃないわ。あなたが今こうして縋り付いてきているのは、私をしているからでも、妻としての私を必としているからでもない。ただ、自分のい通りにく、無償の政婦を失うのが怖いだけでしょ!」

夫の顔が、見る見るうちに青ざめていく。

「朝起きたら温かい飯がてきて、脱ぎ捨てたは綺麗に畳まれていて、文句も言わずに親のオムツを替えてくれて、夜に体調を崩せば薬を差ししてくれる……そんな都のいいインフラを失って、活が回らなくなったから慌てて買い戻そうとしているだけじゃないの!」

「ち、違う! 俺は、おとのいを……!」

「い? 冊の帳を見せたわよね。

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私の帳には、あなたの都と子供の都しかかれていなかった! 私のを分タダで使い倒しておいて、用済みだとったら『お互いのために解散しよう』と放りし、自分が困ったら『やり直そう』? ……虫が良すぎるとわないの!?」

私はテーブルのの菓子の袋を掴み、夫の目ののへ、ドンと叩きつけるように置いた。

「これ、私が代のときに好きだったお菓子よ。……ってる? 私、もう何もから、餡子の甘いものが苦になってるの。胃もたれするから。そんな些細なことすら、あなたは何ひとつらなかったじゃない」

夫はに落ちた袋を見つめたまま、をパクパクとかしていた。 反論の言葉は、もうどこからも湧いてこないようだった。

「待ったわ」

私の声は、再び静けさを取り戻していた。

「子供がきくなったら、あなたが私の話を聞いてくれるを。私の放してきたキャリアを、あなたがしでも気遣ってくれるを、ずっと待っていた。でも、そんなは来なかった。……だから、もう待つのをやめたの。私は、私のをきるわ」

私はバッグから、弁護士と緒に作成した通の面を取りした。

『婚協議申入』

「私の条件はすべてそこにいてあります。産の売却、預貯と退職の分割、そして分割。

論ではなく、法律に従って械に清算しましょう。……曜には、弁護士からあなたの元へ正式な受任通が届きます。これ以の交渉は、すべて弁護士を通してください」

をテーブルのに滑らせると、夫はもはやそれを見る気力すら残っていないのか、力なく首を垂れた。

に落ちた級菓子の袋が、蛍灯のので、ひどく虚しく転がっていた。

それからの続きは、驚くほど迅速に、そして無質にんだ。

弁護士がに入った瞬、夫は完全にを抜かれた。 弁護士から突きつけられた、財産隠しを許さない公な示請求。 与細、過数分の通帳履歴、退職の算定見込証。

夫は会社の法務部や同僚にられることを極度に恐れ、調に持ち込む勇気すらなく、先の提示した条件をほぼ丸呑みする形でした。

の売却も、正式に専任媒介契約が結ばれた。 価格よりし控えめな価格設定にしたことで、けには隣にむ若い夫婦が買いとして名乗りをげた。

売却益から残債と諸経費を差し引いた約百万円は、きれいに折半され、私の個座に百万円が振り込まれた。 さらに、夫の退職見込額から算された財産分与として百万円。 そして、分割のための公正証。

通帳に記帳された数字を見つめながら、私はった。

これが、私のの対価だ。 決して分とは言えない。

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