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"四十八歳、二十五年の家事を「無職」と呼ぶ夫へ" 第10話

「……亮。今、には何もないの。ご飯なら、所のスーパーで何か買ってきて」

私の乾いた声に、亮は怪訝そうに顔をげた。

「は? なんで? お母さん、今パート休みでしょ? 適当にチャーハンとかパスタでいいんだけど」

「作りません」

「……え?」

「もう、あなたたちのの回りの世話を、当たりに引き受けるのはやめたの」

静かに告げると、亮はソファーからを起こし、満そうに眉を寄せた。

「なんだよそれ。反抗期? わかんないんだけど。……てかさ、なんかの、変じゃない? 親父の脱ぎっぱなしのが廊に落ちてたし、親父も昨LINEで『今週末は帰ってくるな』とかなこと言ってくるし」

亮の線が、ダイニングテーブルの端に止まった。

そこには、私が理していた産のパンフレットや、求票の控え、そして夫が突きつけてきたあの『婚準備協議事項(案)』が置かれたままになっていた。

「……これ、なに?」

亮がを伸ばそうとした。

「見なくていいわ」

私が制止するよりく、亮は素くそのをひったくった。 そして、そこに印字された文字を追うにつれ、息子の顔から急速に血の気が引いていった。

「……婚? ……は? ……え、嘘だろ?」

を持つ亮のが、刻みに震え始めた。

「なにこれ……父さんと母さん、別れるの!? なんで!? なんで今更!?」

「亮、落ち着きなさい」

「落ち着けるわけないだろ! 俺、まだ学入ったばっかりだよ!? これから学費だってまだまだかかるのに、ふたりが別れたら、俺の活はどうなるんだよ!? この、売るっていてあるじゃん! 俺の帰る所は!? 俺の部はどこにいくんだよ!」

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歳の息子のからびしてきたのは、親の仲を案じる言葉ではなく、自分自のが揺らぐことへの剥きしの恐怖とりだった。

「親父は何考えてんだよ! いや、母さんだってそうだろ! なんで止めないんだよ! 母さんがすれば済む話じゃないのかよ!?」

『母さんがすれば済む話じゃないのか』

その言葉が、私の鼓膜を劈いた。

夫と同じだ。 この子もまた、私のを、自分の全な活を維持するための「無料の防波堤」として当然のように消費していたのだ。

全の血が、瞬でえ切るのをじた。

「亮」

私の声は、自分でも驚くほどく、たかった。

「お母さんがすれば済むって、本気で言ってるの?」

亮は私の気迫に気圧されたのか、息を詰まらせて歩ずさりした。

「だ、だって……今までずっとそうやってくやってきたじゃん。奈美ちゃんが就職して、俺が学入って、これから族で楽になれるはずだったんだろ? なんで今更、全部ぶち壊すようなことするんだよ!」

「ぶち壊したのは、お母さんじゃない」

私はテーブルを回り込み、息子の正面にった。

「あなたのお父さんが、自分のためだけにを使いたいから、私をこのから追いすと言ったのよ。そして、あなたはそのお父さんの理尽を止める代わりに、お母さんに『今まで通りして代わりになれ』って求しているの」

「そ、そんなつもりで言ったんじゃ……」

「そういうつもりで言ったのよ。無識にね」

私は、息子の元に転がっている汚れた洗濯ネットを指差した。

「学の学費も、活費も、親としての法な義務は絶対に果たします。それはお父さんとも公正証を作って、きっちり払わせる。あなたのを邪魔する気は切ないわ。でもね、亮」

私はまっすぐに息子の目を見つめた。

「あなたたちの『居のいい実』というを守るために、お母さんの残りのを捧げる義理は、もうどこにもないの。お母さんは、あなたの母親であるに、川子というひとりのよ」

亮は唇を震わせ、何かを言い返そうとしたが、言葉にならなかった。 ただ、今まで見たこともない母親の徹な差しに怯え、息を呑むことしかできなかった。

その、リビングの静寂を破るように、私のスマートフォンが激しく震えた。

画面を見ると、見慣れない固定話の番号。 局番は、隣の自治体——さいたまのものだった。

私は亮から線をし、呼吸をして通話ボタンをスワイプした。

「はい、川です」

『あ、川子様のお話でいらっしゃいますでしょうか? 私、公益財団法〇〇文化振興事業団の総務課、採用担当のタカハシと申します』

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