"四十八歳、二十五年の家事を「無職」と呼ぶ夫へ" 第7話
「……あ?」
「経済に完全に自しているとおっしゃるなら、今この瞬から、お互いの活をきっちり切りしましょう」
夫は眉をひそめ、怪訝そうに私の顔を覗き込んできた。
「何を言ってんだ」
「来から、費も費も、すべて折半にします。あなたのワイシャツのクリーニング代も、用品の補充も、ご自分でどうぞ。そして——」
私は子からちがり、シンクの横に置かれた炊飯器のコンセントを、プチリと抜いた。
「私の事労働も、今で無償提供を終します」
「……は?」
「あなたの朝も、お弁当も、夕の準備も、脱ぎ捨てられたの洗濯も、度としません。だって、私はこのに『ただいただけの』なんでしょう? だったら、あなたのお世話をする義務も義理も、最初からしないはずだわ」
夫の顔から、瞬で傲なが消え、ぽかんとした抜けな表がわになった。 何を言われたのか、脳の処理が追いついていないようだった。
「ふ、ふざけるなよ! 夫婦である以、事をするのは当然だろ!」
「夫婦だから事をする? ……つい数、子供が巣ったから夫婦を解散しようと言いしたのは、どなたでしたっけ」
夫は言葉に詰まり、喉の奥で息を詰まらせた。
「勝にしろ!」
数秒の沈黙の、夫は鳴り散らしながらちがった。
「飯くらい、コンビニでもでもどうとでもなる! 洗濯だってボタンを押せばくだろうが! おがどれだけ無力か、すぐにいることになるぞ!」
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ドスドスと階段を踏み鳴らし、階へがっていく夫を見送りながら、私はさく息を吐いた。
膝がかすかに震えていた。 けれど、胸の奥を満たしていたのは恐怖ではなく、ぶりに自分の志で境界線を引いたという、乾いた確信だった。
翌朝から、がの空気は完全に凍りついた。
午半。 リビングにりてきた夫は、テーブルのが完全に空っぽであるのを見て、あからさまに舌打ちをした。
流し台には、私が自分のために使ったマグカップと皿が、綺麗に洗われて伏せられているだけ。 炊飯器の保温ランプは消え、蔵庫の麦茶ポットは空。
夫は当てつけのように蔵庫のドアを力任せに閉し、コンビニの袋から取りしたたいおにぎりを、ったまま貪りった。
脱所の洗濯カゴには、夫が昨脱ぎ捨てた着と靴がそのまま放置されていた。 私が自分のだけを洗濯に入れ、ベランダに干し終えると、夫はシワの寄った昨と同じスーツの着を羽織り、無言で玄関をてった。
背に漂う、苛ちと焦燥。
今までは、その背を見るたびに「何か粗相があっただろうか」「嫌を直してもらわなければ」と胃を痛めていた。 それが、どうだ。 ただ何もしないだけで、このは勝に苛ち、勝に活の破綻を始めている。
午。 パートのシフトが休みだった私は、に揺られて宮駅へと向かった。
駅のカフェの奥の席。 仕ての良いジャケットを着こなした女性が、を振っていた。
佐藤恵理。歳。 私が代の頃、同じ専商社の総務課で働いていた同期だった。
「子! 久しぶり。全然変わらないじゃない」
恵理のるい声に、張り詰めていた肩の力がふっと抜けるのをじた。 恵理は現、堅の子部品メーカーで総務課の係を務めている。 結婚も仕事を辞めず、産と育児のブランクを乗り越えてキャリアを築いてきた、私にとっては眩しすぎるだった。
運ばれてきたカフェラテをに、私はこの数の来事を、包み隠さず話した。 夫からの突然の婚通告。 の帳。 産の訪問査定。そして、昨夜の宣言。
恵理は途でを挟むことなく、折メモを取りながら、真剣な差しで私の話を聞いてくれた。 そして、私が話し終えると、くため息をついて首を振った。
「典型な、昭引きずり男ね……」
恵理の調には、抑えきれないりが滲んでいた。
「子供が自したから『お疲れ様、解散』? 冗談じゃないわよ。男側は分のキャリアと脈とを丸々元に残して、妻側には細切れのパート歴と空の履歴だけ残してポイ捨て? そんな理尽、許されるわけがない」