"朝食を捨てた義母に「二度と台所には立ちません」" 第11話
では、くで始発ののるい鳴りが響き始めていた。 還暦祝いまで、あと。
もう、はない。 このままでは、このは本当に壊れる。 そして、壊れた破片は、私を含めた族全員を連れにしてび散るだろう。
私はく息を吸い、のの津温泉のチラシを、しっかりと折り畳んだ。
「お義母さん」
たく、けれど決して揺るがない声で、私は告げた。
「階へがって、寝てください。……この話は、、修平さんとお義父さんを交えて、全員で話します」
義母は顔を覆ったまま、返事をしなかった。 ただ、そのさくなった背が、夜けのので、痛々しいほど細かく震え続けていた。
翌朝、私は切の容赦をしなかった。
午。 修平がいつものように喉を鳴らしてあくびをしながら、寝ぼけで階からりてきた。
「美里、悪いけど適当にコーヒー淹れてくれよ。今、朝でミーティングがあってさ……」
言いかけた夫の目のに、私はつのものを叩きつけた。
バサリ、と乾いた音がリビングのダイニングテーブルに響く。
つは、滴を吸って波打ち、隅の擦り切れた津温泉のチラシ。 もうつは、勝のゴミ箱から拾い集めた、丸められたコンビニのレシートの束。
修平は眉をひそめ、怪訝そうにテーブルを見ろした。
「……何だよ、これ。ゴミじゃん。
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朝から何やってんの?」
「見なさいよ」
私の声のさに、修平の指先がピクリと止まった。
「よく見なさい。そのレシートに印字されているを」
修平は苛たしそうに舌打ちをしながら、番のい片をつまみげた。 目を細め、印字を追う。
「……午、分? ローソン所沢……梅おにぎり? それがどうしたんだよ」
「そのもよ。分、ファミマ。分、セブン。全部、この数のものよ」
私は夫の目をまっすぐに射抜いた。
「お義母さんはね、毎晩夜に、で歩いてコンビニへってるの。族が寝静まった暗い台所で、換気扇のかりだけで、え切ったおにぎりを隠れるようにしてべてるのよ。……あなた、母親がそんなことしてるの、度でも気づいたことある?」
修平の顔から、急速に眠気が引いていった。 レシートを持つ指先が、わずかに張る。
「な……何言ってんだよ。飯なら、母さんが自分で毎作って……」
「作ってるわよ。でも、自分のためには粒も炊いてない」
私は歩、修平に詰め寄った。
「お義父さんの好みにわせた減塩のか、あなたの好みにわせた濃い付け。それだけを朝から晩まで作り続けて、族がべ散らかした残飯をったまま胃に流し込んでるのよ。自分が何をべたいかすらにできなくなって、夜に徘徊して、百数円のおにぎりを貪ってるの」
修平は喉をゴクリと鳴らした。 線を泳がせ、テーブルのの温泉のチラシに落とす。
「これ……津温泉……?」
「昨夜、お義母さんは台所で倒れてたわ」
修平の呼吸が止まった。
「午過ぎよ。腰が抜けて、たいに突っ伏してけなくなってた。元には、皮を半分剥いた蓮根が転がってたわ。それでもね、あのは救急を呼ぶなって私の腕に縋り付いたのよ。所にられたら世体が悪い、還暦祝いが台無しになるって泣きながらね!」
「……母さんが……倒れた……?」
修平の声がかすれた。 信じられないというように首を横に振る。
「嘘だろ……だって、母さんはいつだって元気で、のことは全部自分でやりたいって……」
「誰がそんなを植え付けたのよ!」
私の声が、静まり返った部を切り裂いた。
「『母さんは料理が好きだから』『母さんは世話焼きだから』って、そうやって都のいい言葉で蓋をして、、甘えて搾取し続けてきたのは誰!? あなたとお義父さんじゃない!」
修平が息を呑み、怯えたようにずさりした。
「見てみなさいよ、あのの指を! あかぎれだらけで、節くれって、パンパンに腫れがってるわ。、も休まずにあなたたちの飯を作り続けてきたのひらよ。その母親が今、腰の骨がきしむ音をてながら、分の祝い膳をで作ろうとしてるの。
……あんた、それをただ座って眺めてるつもりなの?」
「で、でも……俺だって仕事があるし、料理なんて作れるわけ……」