"親戚の前で、夫が私の給料を義母に差し出した" 第5話
「で、でも……夫婦なんだから、族なんだから、し融通してくれたっていいじゃないですか! たかが万でしょ!? 美咲さん、たすぎませんか? 族が困ってるのに見捨てるんですか?」
たかが万。 毎満員に揺られ、理尽なクレームにをげ、残業をねて元に残る万円のみを、この娘はこれっぽっちも理解していない。
「たかが万と言うなら、自分の力でどうにかしなさい」
私は鞄から千円札を枚取りし、自分のアイスティーの伝票のに置いた。
「の丈にわない賃の部にむのも、兄の根拠のない約束を鵜呑みにして見切り発で契約したのも、すべてあなたの甘えよ。私を巻き込まないで」
「ちょっと、美咲さん! 待ってよ!」
ちがった私を追いかけようとする奈緒を背に、私は度も振り返らずにをた。
夕暮れの池袋の。 スマホを取りすと、案の定、夫からの着信がて続けに件入っていた。 留守番話の通をく。
『おい美咲! お、奈緒に何言ったんだよ! あいつ泣きながら話かけてきたぞ! 族の恥を晒すような真似しやがって、いい加減にしろ! 今すぐに帰ってこい!』
雑踏の真んで、私はく息を吐きした。 本当に、どこまでも愚かで、どこまでも自分勝な男。 自分が妹に嘘をつき、妻のをあてにして良い格好をしたことがすべての元凶だというのに、りの矛先を私に向けてくる。
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に帰ると、案の定、リビングには修羅が待っていた。 腕組みをして仁王ちする夫。 テーブルのには、昨夜私が取りまとめておいた計の細ファイルが無造作にかれていた。
「お、本当に恥ずかしい奴だな」
番、夫は吐き捨てるように言った。
「自分の妹が京で自しようとしてるんだぞ? それを応援してやるのが族ってもんだろ。たかが万ぽっちの援助を渋って、奈緒に説教まで垂れたらしいじゃないか。おにはの血が通ってないのか?」
「の血?」
私は靴を揃えてがり、夫のにった。
「勝にの鍵付き類ケースをこじけて、個の通帳を盗み見るようなの血なら、通っていなくて結構よ」
夫の眉がぴくりとねがった。
「な……なんのことだよ」
「ダイヤルロックの番号、ズレてたわよ。私の誕で止まってた。あなたが私の留守にけて、残を確認して、それをお義母さんに報告したんでしょう。『美咲は百万持ってるから、奈緒の引っ越し代くらいせる』って」
夫は瞬、気まずそうに目を逸らした。 だが、すぐにき直ったように声を荒らげる。
「夫婦のに秘密があるほうが異常なんだよ! 隠し事してんじゃねえよ! どうせ使う当てのないだろ? 将来のキャリアアップだか資格取得だからねえけど、今目ので困ってる族を助けるほうが先だろ!」
「私のよ。使いをあなたに指図される筋いはないわ」
「俺のでもあるんだよ! 結婚したんだから!」
「法律、独代に築いた特財産は、配偶者であっても切の権利はありません」
事務に告げると、夫は顔を真っ赤にして拳を握りしめた。 自分の都のいい論理がすべて論破され、プライドが耐えられないのだ。
「ああ言えばこう言いくさって……! 屁理屈ばかり並べるな! だいたいな、母さんが言ってたぞ。おは結婚してから度も、野の嫁としての誠を見せてないってな!」
「誠? 毎の活費をきちんと納めて、あなたの個な検代や親戚への産代までて替えてあげていたのが、私の誠じゃなかったとでも?」
「そんな細かいことグチグチ帳簿につけてる点でが狭いんだよ! 恩着せがましいんだよおは!」
話にならない。 この男にとって、妻が銭を切って自分を支えることは「当然の義務」であり、それを数字として突きつけられることは「男のプライドを傷つける侮辱」なのだ。 自分は円も痛みを伴わずに、ので「気のいい兄」「頼れる男」の座を買い取りたいだけ。
その、リビングにけたたましい着信音が鳴り響いた。 夫のスマホの画面に『母さん』と表示されている。
夫は舌打ちをして話にた。 スピーカーにしなくても、受話器から漏れる義母の甲い号が、静まり返った部に響き渡る。