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"親戚の前で、夫が私の給料を義母に差し出した" 第4話

池袋駅の喧騒を抜け、指定されたカフェに入ると、奥のソファ席に奈緒の姿があった。 派なネイルを施した指でアイスラテのストローを回しながら、いかにもアパレル員らしい今どきの装で座っている。

「美咲さん、こっちですー!」

きくを振る奈緒のに、私は静かに腰をろした。 メニューをくこともせず、バッグからクリアファイルをつ取りしてテーブルの端に置く。

「急に呼びしてごめんなさいね」

「全然です! それよりお兄ちゃん、ほんと頼りになりますよね。私、どうしても板のあのマンションがよくて。オートロックだし独洗面台だし、駅からもいし。でも初期費用がどうしてもりなくて困ってたんですよ」

奈緒は屈託のない調子で、スマホの画面をこちらに向けてきた。 産報サイトの画面。 賃万千円、管理費千円。 築浅の綺麗なワンルームマンション。

「敷と礼でヶ分、仲介数料、賃、保証会社の初回保証料……それに引っ越し業者と具もし買いすから、ざっと万くらいかかっちゃって。私の貯じゃ全然りなくて諦めようとしてたんです。そしたらお兄ちゃんが『万は俺がしてやるからしろ』って言ってくれて!」

「……万」

「はい! 『美咲も賛成してるし、うちの財布は余裕あるから配すんな』って。

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ほんと、いいお兄ちゃんを持ちました。あ、それで、おっていつ振り込んでもらえますか? もう産には申込入れて仮押さえしちゃってて」

私はテーブルので両を組み、奈緒の目をまっすぐに見つめた。

「奈緒さん。単刀直入に言うわね」

私の声音の変化に、奈緒が怪訝そうに眉を寄せた。

「私、悠介さんからそんな話、言も聞いていなかったの」

「……え?」

「還暦のお祝いの席で、悠介さんが親戚のでいきなり『美咲の料を母さんに管理させる』って言いしたのよ。そこで初めてったの。そして今朝、お義母さんから話があって、私の料から奈緒さんの引っ越し代を払う予定になっていると聞かされたわ」

奈緒のストローを回すがぴたりと止まった。 を半きにしたまま、瞬きを繰り返している。

「待ってください……お兄ちゃん、美咲さんとちゃんと相談したって……」

「してないわ。秒も、言もね」

私はクリアファイルから枚のを取りし、奈緒のに滑らせた。 そこには、昨夜私がネットバンキングから力した、夫婦の共通座の利用細と、私の個の収支計画が印刷されていた。

「私たちは共働きで、活費は毎万ずつしって折半しているの。残りはそれぞれ個の貯。悠介さんが『俺がしてやる』と言ったなら、それは悠介さん個のポケットマネーからすべきものよ。

私の労働で得た料や、独代からコツコツ貯めてきた個資産を、あなたがた兄妹の見栄のために差しす筋いは切ないわ」

奈緒の顔から、さっと血の気が引いていくのが分かった。 それと同に、彼女のプライドが刺激されたのか、唇が尖り始める。

「な、なんですかそれ……。じゃあ美咲さん、おしてくれないってことですか?」

「しません」

「そんなの困ります! 私、もう物件の契約めちゃってるんですよ!? 付だって払ったし、今さらキャンセルしたら違約取られるかもしれないじゃないですか!」

カフェの静かな内に、奈緒の甲い声が響く。 隣の席の客がちらりとこちらを見たが、私は眉ひとつかさなかった。

「それは、私ではなく悠介さんに請求しなさい」

「お兄ちゃんに言ったって、お兄ちゃん今そんな持ってないですよ!」

「っているわ」

私は淡に言い放った。

「悠介さんの取りは万。活費の万を引けば万。でも彼は見栄っ張りだから、輩に奢ったり、の丈にわないスーツを買ったりして、毎ほとんど元に残していない。だから私の個資産に目をつけたのよ。私の通帳を勝に盗み見て、百万あるからそこからせばいいと、お義母さんに打ちまでしてね」

「盗み見て……?」

奈緒が息を呑んだ。

さすがにそれは引いたのか、線を泳がせる。 けれど、すぐに自分を守るための理屈を振りかざしてきた。

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