"親戚の前で、夫が私の給料を義母に差し出した" 第3話
なぜ私の料なんですか」
『はあ? 夫婦の財布を分けるなんて卑しいこと言ってんじゃないわよ! だいたいね、悠介から聞いたわよ。あなた、独代の貯が百万以あるんですってねえ?』
臓が、ドクンと嫌なね方をした。
「……な、んですって?」
『自分の通帳にそれだけ溜め込んでおいて、妹のにたった数万もせないなんて、本当に欲なお嫁さんね。悠介も苦労するわ。恥をりなさい!』
ガチャリと、方に話が切れた。
ツーツーという無質な子音だけが、に残る。
界が真っになった。 百万円。 私が卒の頃から、残業代を削り、ボーナスにをつけず、将来のキャリアアップのための資格取得費と、万がのための活防資として、必にコツコツ貯めてきた定期預の額。
誰にも言っていなかった。 夫にすら、体の額しか伝えていなかったはずだ。
なぜ、義母がその正確な数字をっているのか。
私は震えるで、寝のクローゼットへと向かった。 最段の奥、鍵付きのさな類ケース。 私の個通帳や帳をしまってある所。
ケースのダイヤルロックに指を伸ばす。
……設定していた番号と、わずかにズレていた。 私の誕の並びで、止まっていた。
勝にけられたのだ。 夫が。 私が留守のに、このケースをこじけ、の通帳を盗み見て、その額を実の母親に告げした。
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「美咲はを持ってるから、奈緒の引っ越し代くらいせる」と。
「……っ」
胃の底から、耐えがたい吐き気がせりがってきた。
信頼していた。 し見栄っ張りで、親戚付きいにうるさいところはあるけれど、根は優しいだとっていた。 だから活費の分担も守ってきたし、たまに彼が「今ちょっと遣いがピンチでさ、て替えてくれない?」と言ってきた駐代やスーツのクリーニング代も、く追及せずに払ってあげていた。
その結果が、これか。
私の活を、私の努力を、私の尊厳を。 この男は、実の族ので「頼れる派な男」というっぺらい板を掲げるための、無料の燃料として差ししたのだ。
私は類ケースから、過の計簿アプリのデータと、クレジットカードの細ファイルを取りした。
に座り込み、ページをめくる。 震えていた指先が、いつのにかたく、静かに落ち着いていくのが分かった。
「て替え」という名目で、夫に貸したまま戻ってきていない額。 冠婚葬祭の親戚への包み。 夫のの検代の分。
レシートの束を枚ずつめくるたびに、私のので何かが音をててえ切っていく。
スマホの画面がった。 今度は、義母が親戚同のLINEグループに投稿したメッセージの通だった。
『昨夜はお見苦しいところをお見せして申し訳ありませんでした。
美咲さんもまだ若く、野の族としての自覚がりないようですが、私と悠介でしっかりと教育していきますので、温かく見守ってくださいね』
添えられたスタンプは、をげるらしい猫のイラスト。
私はスマホを伏せ、ちがった。 バッグにPCと帳を詰め込み、玄関の鏡を見る。 そこに映る私の顔には、もう迷いも戸惑いもなかった。
私の通帳は、あなたの見栄のためにあるんじゃない。 絶対に、円たりともい通りにはさせない。
オフィスの雑踏を歩きながら、私はえ切った指先でスマホの画面をタップした。
狙うべき相は義母ではない。 もちろん、面ばかり気にして話しいにすらならない夫でもない。 堀を埋めて既成事実を作った張本、義妹の奈緒だ。
『奈緒さん、お疲れ様です。暮らしの件でお話ししたいことがあるので、今の仕事終わりにし会えませんか。池袋なら寄れます』
メッセージを送ってから、わずか分。 画面に通が灯る。
『お疲れ様です! 池袋丈夫ですよ〜! パルコのカフェでいいですか? お兄ちゃんから話聞いてくれたんですね! 助かります!』
語尾に付けられたハートの絵文字。 画面の向こうで、がに入ると信じて疑っていない無邪気な笑顔が透けて見え、胃の奥がちりちりと痛んだ。
定のチャイムと同に会社をて、埼京線にび乗る。