"「お前のために断ってやった」母の仕送りを7年捨て続けた夫" 第7話
と断られる』 『 菜(タラの芽、こごみ)。茹でして凍したもの。発送準備完』 横に赤ペンで太い線が引かれ、こうき添えられていた。 『やっぱり迷惑になるといけないので、見送り。ご所の佐藤さんへお裾分け』 『 真帆の誕。栗の渋皮煮』 また、赤ペンの線。 『話しようとしたが、張先で忙しいと拓さんに言われ、切る』
が震えて、ノートを取り落としそうになった。
分。 丸々分の記録だった。
母は、送っては突き返され、断られては自分を責め、それでも娘の好物をいしては箱を用し、そして最には送ることすら諦めていたのだ。
受取拒否。 。 迷惑。 破棄。
並ぶ無質な言葉の数々。 そのつひとつの背に、どれだけの母の躊躇いと、寂しさと、惨めさがあったか。
「……なんで、話で直接言ってくれなかったの?」
界が完全に涙で滲んで、文字が読めなくなった。
「私に直接、荷物を送ったよって、本LINEでも話でもくれれば、私が自分で受け取ったのに! 票だって、私が確認したのに!」
「真帆……」
母が、おずおずと私の肩にを置いた。
「話、してたのよ。最初の頃は」
「え……?」
「あなたが仕事から帰るを見計らって、夜のとかに、何度もかけたの。でもね、るのはいつも拓さんだったのよ」
母の静かな声が、え切ったれに響く。
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「『真帆はお呂に入ってます』『真帆はもう寝ました』『疲れ果てて話せる状態じゃないです』って……。そのうち、拓さんから『母さんからの話がプレッシャーになって、真帆がノイローゼ気になっている』って言われてね」
全の血が、音をてて引いていく覚がした。
「私が……ノイローゼ?」
「ええ。『実の親を気に病むあまり、京での活に集できていない。真帆を本当にうなら、連絡を控えて見守ってやってほしい』って。そう言われたら、私、何もできなくなっちゃって……」
嘘だ。 全部、嘘だ。
私は度だって母からの連絡をプレッシャーにじたことなんてない。 むしろ、に数回しか鳴らない実からの話を「元気そうでよかった」と呑気に受け止めていただけだった。 私が残業で遅くなった、疲れて帰宅してお呂に入っているに、夫は母からの着信を切り、あるいは折り返し、そうやって母を脅迫じみた言葉で追い払っていたのだ。
「ごめんね、真帆」
母が私の背をさすりながら、泣いていた。
「あなたがそんなに追い詰められているのもらずに、私はただ、娘に嫌われたんじゃないかって、自分のことばかりしんで……本当に、ごめんね……」
「お母さんが謝らないでよ!」
私は母のを握りしめ、ボロボロと涙をこぼした。
「謝るのは私だよ! 私、何も気づかなかった! 拓さんが『実には俺から言っておくよ』って言うのを、優しいなんだって信じ込んで……自分が楽をしてただけだったの! お母さんを、こんな目に遭わせて……ごめんなさい……!」
暗いれので、で抱きって泣いた。 の空。 すれ違い。 互いを「いやる」あまりにを閉ざし、その隙に巧妙に入り込んだの男によって、私たちは完全に引き裂かれていた。
母の居に戻ったのは、夕方のを回った頃だった。
泣き腫らした顔をたいで洗い、こたつに入ると、父が温かいほうじ茶を淹れてくれた。 急須を持つ父のが、かすかに震えている。
「……真帆」
湯呑みを私のに置きながら、父がく掠れた声で言った。
「お、これからどうするつもりだ」
「……え?」
「拓君との活だ」
いつも寡黙で、庭のことにを挟まなかった父が、じっと私の目を見据えている。 その瞳の奥には、抑え込んできたいりと、苦渋のが滲んでいた。
「あいつのやってることは、ただの片付けや節約じゃない。おから俺たちを、このを、全部切りそうとしてるんだ」
「お父さん……」
「にな、わかったんだよ。あいつの本性が」
父の言葉に、私は息を呑んだ。
「……?」
「そうだ。ちょうどおが、会社の主任になったとかで忙しくしてた頃だ。拓君が、でここに来たんだよ」
臓が、ドクンと嫌なね方をした。
「拓さんが……で? 野に?」
「ああ。仕事のついでだって言ってな。平の昼、スーツ姿で突然がり込んできた」