"入籍三日目に渡された「毎月30万」の振込先" 第17話
族。 の奥が、え切っていく。 この期に及んで、まだその呪号で私を絡め取れるとっているのだ。
「反省しているなら、佐伯先の提示した類にサインしてください」
『そんな……万なんて、今すぐ払えるわけないでしょう!? 輔のの解約で、計はもうのなのよ! お願いよ、菜穂さん……』
子は受話器越しに、をすする音を響かせた。 そして、その舌の根も乾かぬうちに、信じられない言を漏らした。
『菜穂さんのお料とボーナス……しだけでもいいから、輔の違約の補填に回せないかしら? ほら、亮太のハリアーを売る続きもめてるから、それが売れたら必ず返すから……ね?』
……は。
わず、乾いた吐き気が込みげてきた。
謝罪の言葉も、反省の涙も、すべてただの振りに過ぎなかったのだ。 この女ののには、最初から最まで「私の財布からどうやってを引っ張りすか」しかなかった。
目のの沼から抜けすためなら、平気で嘘をつき、平気でをげ、そして相がしでも化すれば、再びそのき血を吸おうとする。 底なしの寄虫。
「お義母さん」
私は極めて静かに、氷の刃のような声で言った。
「あなたたちの顔も、声も、そのものが底気持ち悪いです」
『なっ……!』
「度と、私に関わらないで」
通話を切り、その番号を即座に着信拒否に入れた。
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く息を吐きすと、肺のに溜まっていた澱のような空気が抜けていく覚がした。
けなど、滴たりとも残っていなかった。
の初旬。 宮の法律事務所の会議で、最終な協議がわれた。
テーブルを挟んで向かい側に座る亮太は、完全に別のように痩せこけていた。 トレードマークだった入れのき届いたスーツはしわだらけで、肩をすぼめ、線をテーブルの点に落としたままピクリともかない。 自だったハリアーは、古買取に束文で買い叩かれたそうだ。 その売却代と、亮太ののボーナスの半を掻き集めて、ようやく私の万円とマンションの違約を用したらしい。
佐伯先が、作成したと婚届をテーブルの央に置いた。
『宮本亮太氏は、宮本菜穂氏に対し、婚預託の残額万円を本付で返還し、双方は川の賃貸借契約の清算を完したことを確認する。以、相互に銭・分な請求を切わないものとする』
淡々と読みげられる条項。
亮太は震えるでボールペンを握り、自分の名を署名した。 そして、朱肉をつけ、印鑑を押した。
婚姻届をしたあの、得げに「俺が全部管理してやるから」と笑っていた男の指先は、惨めに刻みに揺れていた。
「……菜穂」
類を押し戻す、亮太が掠れた声で私を呼んだ。
「俺さ……おのこと、本当に好きだったんだよ。ただ、族を助けたかっただけで……なんで、たかが万のことで、こんなことにならなきゃいけなかったんだよ」
たかが、万。
最の瞬まで、この男は何つ理解していなかったのだ。 私がったのは、万円という額の寡ではない。 私というのの尊厳を軽し、嘘で塗り固めた罠に嵌め、を都のいい集装置として消費しようとした、その傲な勝さだったということを。
「たかが万のために、自分のを全部失ったのは、あなたでしょう」
私は亮太の目をまっすぐに見据えて言った。
亮太は息を呑み、そのまま度と顔をげることはできなかった。
私は自分の欄に署名し、旧姓の実印を力く押し当てた。 カチリ、と朱肉の乾いた音が響く。
すべてが、終わった瞬だった。
事務所をて、そので区役所の戸籍課へ向かった。 平昼の役所は、末の慌ただしさに包まれていた。 窓に緑の縁取りの用を提する。 職員が械に類を確認し、「では、受理いたしました。戸籍の反映には週ほどかかります」と告げた。
宮本菜穂は、んだ。 私は再び、林菜穂に戻った。
にると、突き抜けるようなの青空が広がっていた。
たいがコートをすり抜けて肌を刺したが、背筋は驚くほどピンと伸びていた。 取りは羽のように軽く、胸の奥を満たしていた苦しい鉛の塊は、跡形もなく消えっていた。