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"入籍三日目に渡された「毎月30万」の振込先" 第16話

もう、迷いは微もなかった。 あとは、すべてを法と数字のルールに従って、完全に清算するだけだった。

佐伯先に正式に委任状を預けた翌、宮本への包囲網は事務に、そして容赦なく敷かれた。

代理弁護士の職印が押された内容証郵便が、川の居と、亮太の勤務先、そして実の箇所へ同に発送されたのだ。

請求の骨子は、極めて簡潔だった。 、使途を偽って流用された婚特財産万円の全額返還。 、川居の途解約に伴う違約および原状回復費用の全額負担(専ら相方の背信為による破綻のため)。 、記を条件とする、協議婚の成および公正証の作成。

『当職が代理として就任いたしましたので、今、本への直接の架、接触、勤務先への押しかけ等は切禁止いたします。すべて当職宛てにご連絡ください』

その文が、相方のすべてのを縛った。

スマートフォンの通は、驚くほど静かになった。 直接鳴りつけることも、夜に玄関ドアを叩き割らんばかりに連打することもできない。 「族」という緒な暴力が通用しない、徹な法と面の俵に引きずりされたのだ。

数、佐伯先から捗の話が入った。

『菜穂さん、相方から連絡がありました。最初はご主が話で鳴り散らしていましたが、こちらの法な主張と証拠の示を示唆した途端、トーンダウンしましたよ』

「……そうですか」

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『それから、あちらの経済状況ですが、っていた以に脆かったようです』

受話器の向こうで、先が類をめくる乾いた音がした。

私の万円という防波堤を失った宮本は、驚くべき速さで内部崩壊を始めていた。

輔のガレージは、オープン予定を過ぎてもシャッターがくことはなかった。 それもそのはずだった。 私が毎万円を注ぎ込むことを提に借りていた潮の物件は、保証の残額も払えず、から契約解除通告を突きつけられたという。

ドイツ製の圧スチーム洗浄は、度も実戦で使われることなく、具専の古買い取り業者に半額以で買い叩かれた。 その叩き売りでに入ったわずか数万円も、舗の解約違約に消えた。

当然、兄弟ので激しい罵りいが起きたらしい。

「おが『兄貴の嫁が持ちだから丈夫だ』って言ったからを借りたんだろ!」 輔は母親と亮太にそう鳴り散らしたという。

「俺だって騙されたんだよ! あんな女だとはわなかったんだ!」 亮太はそう喚いて責任を逃れようとした。

だが、現実は残酷だった。 川のマンションを解約するための違約と、割りの賃、クリーニング代。 それに加えて、私に対する万円の返還債務。 計で万円いキャッシュが、今すぐに必になったのだ。

貯など円もなく、毎万円のハリアーのローンに追われていた亮太に、そんなを面できるはずがなかった。 実の正男は「俺の退職には指本触れさせん」と自に閉じこもり、子のパート代など焼けに。

の財布をあてにして見栄を張り、の丈にわない贅沢と事業ごっこに興じていたが、部からの搾取を断たれた瞬、自らのみに耐えかねて潰れていく。 当然の結末だった。

の半ば、度だけ、見らぬ固定話の番号から着信があった。

川内の公衆話からだった。 嫌な予がしながらも通話ボタンを押し、無言で受話器にを当てる。

『……菜穂さん? 菜穂さんでしょう?』

子の声だった。 かつて私の部のドアので切り声をあげ、座卓を叩いて湯呑みを倒した面は、どこにもなかった。 掠れ、震え、泣き濡れた、れな老女の声だった。

『お願いよ、菜穂さん……話を切らないで……! 亮太が、亮太が本当にノイローゼになりそうなのよ! 会社でも居づらくなって、毎でを抱えて泣いてるの!』

「弁護士を通してくれとお伝えしたはずですが」

『分かってる、分かってるわよ! 私たちが悪かったわ! 亮太も私も、本当に反省してるの! だからお願い、弁護士なんて袈裟なものを取りげて、度に戻ってきてちょうだい! 族じゃないの! 最初は誰だって躓くものよ!』

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