"無職と笑う夫が盗んだ、私のデザイン" 第14話
「皆様、画面をご覧ください」
会議にいる全員の線が、モニターに集する。
「これが、私が制作した『季の卓』のマスターデータです」
私はマウスを操作し、デザインの骨格となるグリッドシステムを表示させた。
「このパッケージは、黄比と本の伝統な比(比)を組みわせた、独自のグリッドレイアウトで組まれています。夫は『現覚で考案した』と申しましたが、このロゴタイプの曲線のベジェ関数、そして文字のをにパーセント落とすことで定をむ法は、専な造形理論に基づかなければ能です」
画面のアンカーポイントを拡する。 〇・〇ミリ単位で調された、ベクターデータの軌跡。
「さらに、こちらをご覧ください」
私はファイルのタイムスタンププロパティをいた。
「この初期ラフの作成は、昨の。夫がナカジマ・フード様への提案プロジェクトを社内でちげた、その半です」
法務部の課が、を乗りして画面を凝した。
「半……?」
「はい。タイムビジネス協議会認定のタイムスタンプが埋め込まれており、改ざんは能です。夫が企画として提したIllustratorデータは、私のSSDからそのまま抜き取られたものであるため、レイヤーの非表示部分に、私がプライベートでメモした『の覚用・特テスト』という、夫の企画図とは無関係な個ログまで完全致で残っています」
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私は画面を消し、元のリモコンを置いた。
「夫は度として、私にコンセプトの指示をしたことはありません。私の留守にデータを無断で複製し、私の名を図に削除して自作と偽った。これがかしがたい事実です」
会議が、を打ったように静まり返った。
コンプライアンス部の線が、夫へと向けられた。 その差しは、氷のように徹だった。
「……佐藤社員。半からしていた者の完成データを、自らの指示による産物だと主張するのは、客観に見て無理があるな」
「い、いや……! 部! それは……!」
「法務部としても判断をします」
法務課がややかに類をめくった。
「これはな著作権侵害であり、取引先に対するな背信為です。佐藤社員の主張には切の証拠能力がありません」
夫の顔から、完全に血の気が引いていった。 唇がに変し、ガタガタと震えている。
「佐藤也」
コンプライアンス部のくい声が、夫に宣告をした。
「おがが社にもたらした損害と信用の失墜は計りれない。本付で、営業企画部の全職務から解任する。処分については就業規則に基づき、懲戒解雇を含めた厳正な審査をう。以の社を切禁ずる」
「懲戒……解雇……?」
夫の喉から、空気の抜けるようなけない鳴が漏れた。 テーブルに突っ伏し、を抱え込む。
だが、私の用件はまだ終わっていなかった。
私は鞄の底から、今朝の通勤ので署名と捺印を済ませてきた、枚の公な用を取りした。
緑の枠線で囲まれた、役所の届用。
『協議婚届』。
私はそれを、テーブルのを滑らせ、夫の目のに置いた。
「……え?」
夫が涙と汗で濡れた顔をげ、掠れた声をした。
「美穂……これ……」
会議にいる役員たちも、息を呑んでその景を見守っている。 私は夫の線を逃げずに受け止め、静かに、しかし度と揺らぐことのない声で言い放った。
「サインして。あなたの保のために私の名を奪おうとしたと、これ以夫婦でいる理由はありません」
弁護士を通じて届いた連絡は、事務で、驚くほど淡だった。
夫はタイヨーフーズを懲戒解雇にはならなかった。 だが、役員会とコンプライアンス委員会がした裁定は、実質な追放に等しいものだった。
営業企画部の役職を剥奪。 階級の格処分。 そして、埼玉県部の物流倉庫への無期限向。
企画をてることも、クライアントと商談を持つことも度と許されず、毎朝始発にいに揺られ、段ボールのと伝票の突きわせに追われる々。 かつて「課昇は確実だ」「俺が会社を回している」と豪語していた男に与えられたのは、組織の最も陽の当たらない所での、終わりのない単純労働だった。