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"無職と笑う夫が盗んだ、私のデザイン" 第9話

「ただし」

島部は真剣な面持ちで付け加えた。

「これは、あなたが現の『私な問題』を法に完全にクリアにすることが提です。夫の会社から権利侵害の横槍が入るような状況では、企業として契約を結ぶことはできません。そこはプロとして、きっちりと片を付けていただけますね?」

「……はい」

私は迷うことなく、くをげた。

「私の仕事と尊厳を守るために、すべて清算いたします」

渋からの帰りの内、私は度も座席に座らなかった。 吊り革を握るには、島部から渡された仕様のみがあった。

自分のでっている覚が、ぶりに蘇っていた。

夫の料に依しているわけでも、夫の庇護のにいるわけでもない。 私の技術を、私の名を、求めてくれるがの世界には確かにしている。

夕暮れ、戸田のマンションに帰り着いた。

エントランスの自ドアをくぐり、エレベーターホールへ向かおうとした、見覚えのあるが目に入った。

オートロックの側。 来客用のソファからちがったのは、仕てのいいチャコールグレーのスーツを着た、初老の男性だった。

険しい表で腕を組み、廊の奥を睨みつけている。

夫の直属の司、田修平部だった。 そしてその横には、ネクタイを緩め、汗まみれの顔でペコペコとをげ続けている夫の姿があった。

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「……ですから田部、本当に庭内のき違いでして! 妻も納得しておりますので!」

夫の鳴のような弁解が、エントランスに響いていた。

「佐藤」

田部の声は、氷のようにかった。

「おの言い訳を聞きに来たんじゃない。島部から直々にが社の社宛てに抗議が入ったんだぞ。『御社の営業はのデザインを盗用してプレゼンするのか』とな。これがどういう事態か分かっているのか?」

「ひ、盗用だなんて滅相もない! 妻が描いたものを、夫である俺が……!」

「あ、美穂さん」

田部が私に気づき、を止めた。

夫が弾かれたように振り返った。 その顔は蒼で、目は血り、私を見るなり鬼のような形相に変わった。

「お……! どこほっつき歩いてたんだ! く田部に説しろ! おが『全部夫に任せました』って言えば済む話なんだよ!」

夫が私の腕を掴もうと詰め寄ってくる。

「やめなさい、佐藤!」

田部がした。 エントランスの空気が凍りつく。

田部は私に向き直り、名刺を差ししながら々とをげた。

「奥様……いえ、デザイナーの佐藤美穂さんですね。突然自宅まで押し掛けて申し訳ありません。株式会社タイヨーフーズの営業企画部、田です。本は、業務の極めてな確認のために参りました」

私は背筋を伸ばし、会釈を返した。

「佐藤美穂です。

お噂は伺っております、田部」

「美穂、余計なこと喋るなよ……!」

夫が背からく唸るような声で脅しをかけてくる。 だが、田部はその夫をたい目で見据えた、私に線を戻した。

「美穂さん。ち話も何ですから、お部でしお話しさせていただけませんか。あなたが夫である佐藤に、『季の卓』のデザインを無償提供したという事実があるのかどうか、直接確認させていただきたいのです」

「わかりました」

私が静かに頷くと、夫の喉から「ひっ」とい鳴が漏れた。

部にがり、リビングのテーブルを挟んで田部と向きった。 夫は居たたまれない様子で私の斜めに座り、貧乏揺すりを繰り返している。

「美穂さん、率直に伺います」

田部は帳をき、ボールペンを構えた。

「佐藤は今朝、社内の聞き取り調査に対し、『妻は以からこのデザインをが社に提供することにしていた。しかし昨夜、私活の諍いからになり、島部ので突発に嘘をついた』と証言しました。これは事実ですか?」

胃の底から、たいりがせりがってきた。

どこまでも嘘をね、私のな問題にすり替えようとしている。 自分が犯した横領を、「ヒステリックな妻のつ当たり」として社内に処理させようというのだ。

「事実無根です」

私の声は、驚くほど静だった。

「私は夫の会社にデザインを提供することなど、度もしていません。

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