"婚約破棄を告げた瞬間、義父母から謎の80万円を請求された" 第16話
相の逃げを塞ぎ、からの蒸し返しを防ぐための公な盾を作るのです」
カタカタとキーボードを叩く音が内に響き始めた。
理された数字は、驚くほど単純だった。
居の賃貸借契約の解除。 管理会社への連絡の結果、鍵の受領解約に伴う違約および数料は、賃料の約ヶ分、13万2千円で確定した。 ふたりで折半すれば、私の負担分は6万6千円。
式の解約。 すでに私が自分の預から支払っていた内15万円は、規約、全額がキャンセル料として没収される。 本来であれば、これも折半すべき費用だ。つまり、健介は私に対して7万5千円の負担義務がある。
そして、私がすでに健介に振り込んでいた21万円。
相殺の計算が、画面のに打ちされていく。
私が返還を受けるべき21万円。 そこから、私の正当な違約負担分(居の6万6千円)を差し引く。 さらに、式内の健介負担分(7万5千円)を加算する。
結果としてた数字。
『松本健介から川結菜への返還請求額:219,000円』
「……え」
わず声がた。
「請求されているのは私の方だったのに……逆に、返還請求になるんですか?」
「契約と証拠に基づけば、これが客観な真実です」
先は鏡をかけ直し、く笑った。
「相は『80万払え』と騒いでいますが、蓋をければ、あなたが婚約者に預けたおを着し、さらに式のキャンセル料を踏み倒そうとしている状態なんですよ。
広告
この数字を突きつければ、相の弁護士や親族がどれほど世らずでも、ぐうの音もないはずです」
の文面には、さらに厳格な条項が加えられた。
、双方は本の履をもって、本婚約に関する切の債権債務がしないことを相互に確認する。 、双方は今、理由の如何を問わず、相方本およびその親族に対し、直接または接を問わず切の接触(架、訪問、簡の送付、SNS等による接触)をわない。 、本件の経緯および内容について、第者への、業務先への連絡、名誉を毀損する言を固く禁じる。これに違反した、違約として50万円を支払うものとする。
「どうですか、川さん」
プリントアウトされたの文面を読みながら、私はく息を吐きした。
完璧だった。 の入る隙が1ミリもない、氷のようにたく、刃物のように鋭い類。 これがあれば、あのたちが最も恐れる「世体」と「法な責任」で、完全にそのを縛りげることができる。
「これで、お願いします」
「承しました。本を通、内容証郵便にて、松本健介氏の現所へ送付します。署名捺印の、通の返送と指定座への返を求める形を取りましょう」
事務所をた、空は抜けるような青空だった。 のたいがコートを揺らしたが、昨まで私の胸を締め付けていた息苦しさは、跡形もなく消えっていた。
内容証郵便が届いたのは、そのだったはずだ。
そのの夜、私のスマートフォンには切の話がかかってこなかった。 義父からの鳴り散らす話も、義母からの泣き落としのLINEも、健介からのすがるようなメッセージも、ただの件もなかった。
沈黙。 あれほど騒がしかったが、完全にを閉ざしていた。
から、耶さんからいメッセージが届いて、その夜の松本の様子をることになった。
『結菜ちゃん、届いたみたいね。 父さんが最初、内容証を見て「こんな切れ、破り捨ててやる!」って鳴り散らしたらしいの。 で、りいの元法務関係の親戚に見せにったら、「お、これ完全にアウトだぞ。息子が預かりを流用して、母親が勝に買った産を請求してるなんて、裁判になったら赤っ恥をかくだけじゃ済まないぞ」ってこっぴどく説教されたんだって。 父さん、真っ青になって帰ってきたわ。 母さんも、自分が買った布団と産の請求が通らないって分かって、寝に引きこもっちゃった』
画面を見つめながら、私は度も笑わなかった。 ただ、「そうなるのが当たりだ」と静かにっただけだった。
彼らは、い権力を持った悪魔などではなかった。 ただ、内の甘えと「」という狭い常識のでしか威張ることのできない、世らずでなたちに過ぎなかったのだ。