"婚約破棄を告げた瞬間、義父母から謎の80万円を請求された" 第13話
あの請求も、1円も払う必ないわ」
「はい。法に筋を通して、すべて終わらせます」
喫茶をた、夜のたい空気がよくじられた。 もう、迷いは完全に消えっていた。
そのの夜、過ぎ。
川のアパートの部で、解約続きの類に目を通していた。 戸田公園のマンションの管理会社には朝イチで連絡を入れ、事を説して契約解除の続きを始めていた。 幸い、鍵の引き渡しだったため、違約は賃料のヶ分で済むという。 結婚式も、内の15万円を放棄することで解約ができる目処がった。
あとは、この現実をどう突きつけるか。
そうっていた矢先だった。
ドンドン、と控えめにドアを叩く音がした。 続いて、郵便受けの隙から声が漏れてくる。
「……結菜。結菜、いるんだろ? 頼む、けてくれ」
健介だった。
臓が瞬ねたが、昨夜のような揺はなかった。 私はチェーンをかけたまま、ドアをセンチだけけた。
灯の暗いのに、健介がっていた。 スーツのネクタイは曲がり、目のには濃い隈ができている。 髪はボサボサで、見るからにやつれ果てていた。
「結菜……よかった、いてくれて」
「何の用? 夜に所迷惑だから、帰って」
「頼むから話を聞いてくれ! 分でいい、分だけでいいから!」
健介はドアの隙にをかけ、すがるような目で私を見つめた。
広告
その姿には、昨までの尊な態度はも形もなかった。
私はさく溜め息をつき、チェーンをした。 ただし、部のには入れず、玄関のたたきにたせたまま、腕を組んで見ろした。
「にして」
健介はごくりと唾をみ込み、胸ポケットから折りたたまれたを取りした。 昼に私が突きつけた、費用の精算内訳だった。
「……親父と、母さんと話したよ」
絞りすような声だった。
「おの言った通りだった。居の初期費用の21万、母さんが自分の座にプールしてた。それから親戚の産代も……母さんが勝に注文して、俺たちの結婚費用ってことに仕ててたんだ」
「そう」
「俺、鳴ったよ。親父にも母さんにも、こんなのおかしいだろって。結菜に嘘ついてお請求するなんて違ってるって、初めてふたりに鳴ったんだ」
健介の瞳が、微かに潤んでいた。 彼は自分が成し遂げた「両親への反抗」を、私に褒めてほしい子どものような目で見つめてきた。
「母さん、泣いて謝ったよ。『よかれとってやったのに、そんなにわれるなんてだ』って言いながらも、80万の請求は取りげるって言った。親父も……もう結菜のお父さんのこと、悪く言わないって約束してくれた」
健介は歩、踏みそうとした。
「だからさ、結菜。もう問題は全部解決したんだよ」
「……解決?」
「そうだよ! おのことは俺が全部なんとかする! 居の違約も、式のキャンセル料も、全部俺が払うから! だから……もう度、やり直そう?」
健介はポケットから、さな青い箱を取りした。 昨、神田のカフェに置きりにされた結婚指輪の箱だった。
「俺が悪かった。おがそこまで追い詰められてるって、気づいてやれなかった。俺、変わるから。これからは実とも距を置く。正も、結菜がきたくないならかなくていい。ふたりだけで暮らそう。な? 、あんなに楽しかっただろ? 全部チャラにするなんて、嘘だろ?」
必だった。 彼は本気配で私をしているつもりなのだ。 本気配で、これで全てが元通りになると信じ込んでいるのだ。
胸の奥が、チリチリと痛んだ。
まったくがかなかったと言えば、嘘になる。 のいが、馬灯のようにを駆け巡る。 週末にふたりで作った餃子。 私の誕に、ぎこちないつきで予約してくれた夜景の見えるレストラン。 父に初めて会った、「すごく気さくで温かいお父さんですね」と言ってくれた笑顔。
あのは、嘘ではなかったはずだ。 健介も、私を傷つけようとして付きっていたわけではない。
でも――。
私は静かにをいた。
「健介」
「うん、何?」
期待に満ちた目で、健介が顔を寄せてくる。
「もし、お義母さんが病気になったら、どうする?」
健介は虚を突かれたように目を見張った。
「え……?」
「今はって距を置くって言ってるけど、、、お義母さんが体調を崩して『健介、結菜さんを連れて病に来てちょうだい』って泣きついてきたら、あなたはどうするの?」