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"婚約破棄を告げた瞬間、義父母から謎の80万円を請求された" 第10話

元がれない。 また、その言葉だ。

『いいか、の昼までに80万円全額、を揃えて実に持ってこい! そして健介と私たち両親のにをついて謝罪しろ! さもなければ――』

義父の声が、段く、ねっとりとした脅迫の響きを帯びた。

『親戚はおろか、おの会社の総務部にも、おの父親のにも、この義理の限りを全部ぶちまけてやるからな! 世体を舐めるなよ! 埼玉で、親子揃ってまともにきていけなくしてやるからそうえ!!』

受話器の向こうで、荒い息が荒れ狂っている。 脅せば、若い娘など恐怖で震えがり、泣いて謝罪してを差しすと信じ込んでいるのだ。

私は、録音のカウンターが静かに秒数を刻んでいるのを見つめた。 1分12秒。 完璧に、すべての脅迫の言葉が記録されていた。

「……松本さん」

私は静かに呼びかけた。

『あぁ!? なんだ、しは反省する気になったか!』

「今の言葉、すべて録音させていただきました」

話の向こうの空気が、ピキリと凍りついたのが分かった。

「職の総務部、ならびに父の勤務先への業務妨害の予告。ならびに事実無根の銭の。すべて記録に残っています。これ以、私や父に接触されるようであれば、この音声データを持って、そのまま埼玉県警の活全課へ伺います」

『な……っ!? き、貴様……!』

「それでは、失礼いたします。

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今のご連絡は、すべて面でお願いいたします」

義父が何か喚き散らそうとした瞬、私は赤いボタンを押して通話を遮断した。

ツーツーという乾いた子音。

静まり返った畳で、私はスマートフォンを握りしめたまま、く、く息を吐きした。 の震えは、もう完全に止まっていた。

翌朝、スマートフォンのバイブレーションが枕元でく震えた。

画面をくと、見覚えのないLINEのアカウントからメッセージが届いていた。 アイコンは品の良いけの写真。名は「松本 子」。

健介の父方の叔母だった。 の、顔わせのに度だけ、義実で挨拶をしたことがある。

『結菜さん、急にごめんなさいね。 昨の夜、昭夫兄さんから連絡があって本当に驚きました。 結婚式の付や居の準備で、松本がおししたおのことで揉めているとか……。 結菜さんはしっかりしたお嬢さんだとっていたから、何かの違いだといたいのですけれど。 男の嫁になるなら、最初におにこだわりすぎると、々うまくいかなくなりますよ。 お父様のためにも、の対応をなさったほうが賢ではありませんか?』

スマートフォンの液晶を握る指先が、スッとたくなっていくのが分かった。

やっぱり、そうきたか。

義父は昨夜の話で鳴っていた通り、さっそく親戚に都のいい話を触れ回っているのだ。

「嫁の側がをさずに婚約を破り、松本がて替えた80万円を踏み倒そうとしている」という、完全に歪められた物語を。

世体。 このたちが番執着し、番恐れているもの。 自分たちの面子を守るためなら、事実を捻じ曲げて相を悪者に仕てげることも躊躇しない。

メッセージの最にある「お父様のためにも」という文が、黒いインクのように胸に染み入る。 父を質に取られているような、言いれぬだった。

私はベッドから起きがり、たいをんでから返信を打った。 な反論は切交えず、事実だけを並べる。

『子様 ご配をおかけし、変申し訳ございません。 今回の入籍の止につきましては、松本より提示された条件および、双方の庭観の相違によるものです。 また、松本より主張されております「80万円のて替え」につきましては、契約等のがしない費用や、私自がすでに負担済みの費用(21万円)が計されており、客観な根拠がございません。 現は、契約に基づいた正当な解約実費のみを精算する方向で続きをめております。 なお、本件に関して私の父は何ら関与しておりませんので、父へのご連絡はお控えいただけますようお願い申しげます』

送信ボタンを押す。

度と返信は来なかった。

内にだけ通用する「空気」や「常識」を振りかざしてくる相には、公な類のような徹な事実を突きつけるしかない。

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