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"車椅子の看板娘と一億円の代償" 第2話

目元のじわはくなり、黒髪のに混じる髪の量も気に増えている。何より、客を迎えるその顔貌には、隠しようのない拭いがたい疲労と労のが濃く刻まれていた。

俺はナツさんのあまりの変わりように息を呑み、胸の奥にたい棘が刺さるのを覚えながら、努めて穏やかな声を作ってをげた。

「ナツさん、お久しぶりです。な、なんかの様子が……」

言いかけて、俺は言葉を喉の奥に詰まらせた。

に入った俺は、いつもるく客を包み込んでいたはずのナツさんの、どこか窶れきった様子と内の異様な殺景さに言葉を失っていたのだ。だが、違はそれだけに留まらなかった。俺は無識のうちに首を巡らせ、暗い内の隅々をキョロキョロと見回した。

客席の奥、厨とがりの境目にある暗い通の脇に、ひとつのがじっと佇んでいるのが目に入った。

のが障子を通して々しく落ちるその所に、見覚えのある女が座っていた。

いや、座っていたのではない。彼女は、子に乗っていたのだ。

俺の線がその姿を捉えた瞬、全の筋肉が直した。

「え、ちょ……蒼井ちゃんじゃない? なんで、蒼井ちゃんそんなボロボロになっているの? しかも子って……怪でもしたの?」

俺はわずを踏みし、彼女の元へ駆け寄ろうとした。

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そこにいたのは、ナツさんの娘である蒼井ちゃんだった。俺の記憶のにある彼女は、いつもだらけの体操着を着て商を元気にり回り、に入ったら陸部でインターハイを目指すと目を輝かせて語っていた、底抜けにるい女だったはずだ。

だが、今目のにいる蒼井ちゃんは、まるで彩を奪われた形のように気を失っていた。

髪は入れもされずに肩まで伸び放題になり、俯いた顔にはい隈が落ちている。華奢な膝のには分い毛布が自然に掛けられており、そのから覗く両には、痛々しいほど何にも巻かれた包帯の端が見え隠れしていた。かつての活な面はどこにもなく、全から「きていることの苦痛」が滲みているかのような、痛ましい姿だった。

俺の狼狽した叫びを聞いたナツさんは、胸のでエプロンの端をぎゅっと握りしめ、目を伏せた。その肩が微かに震えている。

「実は……蒼井、半くらいに男に襲われて、を切られたの」

「あ、を切られたって……!?」

を疑うような単語がびし、俺の脳を激しい衝撃が貫いた。切られた、とはどういうことだ。誰が、何の目で、まだ端もいかない女にそんな暴虐を働いたというのか。

ナツさんは濡れた瞳を板に向けたまま、途切れ途切れに、ポツポツと話し始めた。

その声は細く、まるで昨の惨劇を今まさに目ので追体験しているかのように震えていた。

「蒼井……になったんです。半にね。毎部活が楽しくて仕方ないって、暗くなるまでって……でも、あるの部活の帰りに、全黒づくめの男に襲われて……」

ナツさんは唇を噛み締め、呼吸をえようとしたが、乱れた息が胸をさせる。

「しかも、急に包丁を振りかざして……そのまま、無抵抗な蒼井のを切りつけたのよ」

「……っ」

俺は奥歯をギリリと噛み締め、両を固く握りしめた。爪がのひらにくい込み、鈍い痛みがる。何の罪もない女子が、部活帰りの暗がりで、刃物を持った凶漢に突如襲撃された。その景を像しただけで、臓腑が煮えくり返るような激しいりが胸底から噴きがってくる。

ナツさんは涙を指先で拭いながら、さらに痛切な事実を告げた。

「蒼井は……その、歩けなくなっちゃったの。さらには、ショックのあまり、ほとんども利かなくなっちゃって……」

言葉を失った俺の目ので、ナツさんはやりのない憤りといをその華奢な体いっぱいに滲ませ、声を絞りすように続けた。

「こんな若い子の未来を奪ったくせに……まだ、犯は捕まっていないのよ」

震える声が、気のない内に痛に霊する。

「こんなに悔しいことって、であるのかしらね……。

どうせなら、私を切りつければよかったのに。

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