"式1時間前の略奪と百八十万円" 第13話
その当たりの積みねが、俺たちの絆をより固なものにしていった。
コンペ当、ホテルのラウンジには両者の試作具が並べられた。
宮の提案は、美しい目の統されたハイブランドの具が、寸分の狂いもなく幾何学に配置されていた。カタログの1ページのような、圧倒な美しさだった。
「空の格式を保つには、まず統です。客単価をげるためのデザインですよ」
宮が自信満々にプレゼンを終え、俺たちに笑を向けた。
「野坂君の配置は、随分と揃いで余がいな。せっかくの効面積を無駄にしているんじゃないか?」
俺は町氏に向き直り、静かにをいた。
「写真には、具しか写りません。ですが、この空を使うのはきたです。こちらは作業に集するための席、こちらはく腰掛けて読を楽しむ席です。すべての席を同じにするのではなく、お客様がそのの気分で選べるようにしました」
こよりが歩にた。
「実際に、キャリーケースを持った状態で、子のろを通ってみてください」
町氏が自ら荷物を引き、ラウンジのを歩いた。
宮のエリアでは、子を引いたの背に荷物が引っかかり、ち往した。だが、俺たちのエリアでは、誰がちがっても、荷物を持ったがスムーズに窓際へと通り抜けることができた。
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「なるほど……図面を見るより、歩いてみると目瞭然ですね」
町氏が嘆の声を漏らした。
焦った宮が、声を荒らげた。
「しかし町さん! 彼は元々うちの請けの職ですよ! 技術はすべて私の会社でにつけたものです。以、御社に納めた読棚だって、私がデザインしたもので――」
「あの読棚の図面を引いたのは、俺です」
俺は遮った。
「今更柄を奪いう気はありません。宮さんは全体の営業と調、俺は設計と製作。どちらも欠かせない仕事です。ですが、俺の仕事をなかったことにされる筋いはありません」
町氏が静かに頷いた。
「その件については、当の社内記録を確認しました。棚のさについて現で細かく相談に乗ってくださったのは、野坂さんでしたね。……それに、宮さんの今回の見積もり、特注品と銘打っていながら、既製品の品番が混ざっているようですが、どういうことですか?」
宮の顔から、気に血の気が引いた。都のいい言葉で煙に巻く彼のやり方が、完全に通用しなくなった瞬だった。
「本事は、野坂さんと帆波さんのおにお願いしたいといます」
町氏の決定に、宮は何も言えず、逃げるように現をっていった。
「決まったよ……!」
に戻る、話越しに伝えると、こよりの泣きそうな声が返ってきた。
「本当ですか……! よかった……!」
に帰り着くと、玄関で迎えてくれたこよりが、俺の胸にび込んできた。
「私の名も、契約にありましたか?」
「あったよ。役割も、報酬も、全部半分ずつだ」
「よかった……私、あの所で、姉の言う通り何もできなかったらどうしようって、ずっと怖かったんです」
「できたよ。俺たちが、自分たちの力で勝ち取ったんだ」
肩に触れる彼女のの震えは、あの式で見た震えとは違っていた。びを噛み締める、確かな命の温もりだった。
ホテルのラウンジ事は成功を収め、その評判はコミで瞬くに広がっていった。
半が過ぎる頃には、個客からの注文や舗の改装依頼がヶ先まで埋まるようになった。俺たちはの隣にさな相談を借り、板を掲げた。
『野坂・空設計』
誰かの請けではない、俺たちのだった。
おばとの賃貸契約も正式に更し、で賃を折半して暮らす活が完全に定着していた。
そんなあるの夕暮れ、相談のに、台のタクシーが止まった。
りてきたのは、やつれた顔のかりだった。以のような派なメイクはなく、どこか怯えたような目をしていた。
「……久しぶり。忙しそうだね」
「返済の件なら、弁護士を通じて連絡してくれと言ってあるはずだ」
「おの話だけにしないでよ! ……蒼介の顔が見たかったの」
かりはすがるように俺の腕にを伸ばしかけたが、俺は静かに歩ずさった。