"「ここは新妻の家」と笑う義母へ突きつけた、青い契約書" 第6話
浩司の子をごもっている、佐藤のしいお嫁さんよ!」 「しいお嫁さん?」 「そうよ! 15も居座って子供産めない役たずのあんたとは違うの! これからこのは、浩司と美穂さんと、まれてくる赤ちゃんがむのよ!」
義母はを鳴らし、リビングの隅を顎でしゃくった。 「ちょうどいいわ。わざわざ業者を呼んで処分させるが省けたわね。あんたの荷物、そこにまとめておいたから。さっさとそれ持っててきなさい」
指さされた先。 キッチンの勝の脇、普段はゴミ袋を置くスペースに、乱暴にガムテープを貼られた段ボール箱がつ、積みげられていた。
元が崩れ落ちそうになるのを必に堪え、私はその段ボールへ歩み寄った。 番の箱の隙から、私の私が埃まみれになって覗いている。 ガムテープを乱暴に引き剥がした。
箱のを見た瞬、喉の奥からヒュッと引き攣った音が漏れた。
適当に丸めて突っ込まれた私のの底。 き母の形見だった、輪島塗のさな箱が転がっていた。 角の漆が欠け、蓋が歪んでいている。 に入っていたはずの、母の形見の真珠のネックレスの糸が切れ、い粒が箱の底に散らばっていた。 母が、私と笑いっている古い写真の表面には、のような汚れが擦り付けられ、くしゃくしゃに折れ曲がっていた。
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「……これ」 声が、震えた。 「これ、誰がやったんですか」
「私が片付けたのよ!」 義母が勝ち誇ったように声をげた。 「いつまでもんだのガラクタなんか置いておくからでしょうが! これから赤ちゃんを迎えるっていうのに、気臭くて邪魔なのよ! 謝しなさい、ゴミのに捨ててあげなかっただけありがたいといなさい!」
界の端が、真っ赤に染まっていく覚がした。 15。 何を言われても、どんな仕打ちを受けても、私はをげて耐えてきた。 けれど、このたちは。 夫と義母は、私の尊厳だけでなく、私が何よりも切にしていた者との絆すら、で踏みにじったのだ。
「ちょっと、いい加減になさいよ!」 ろから、姉が鋭い音を響かせて踏み込んできた。 姉の激した声に、義母が歩ずさる。 「の私物を勝に漁って損壊するなんて、完全な器物損壊罪よ! 警察を呼んでもいいのよ、お義母さん!」
「な、何よあんた! がの庭の問題に首を突っ込まないでよ!」 「? 私は由美の実姉よ。そして、この状況のすべての証拠を握る会よ」
私は震えるで、バッグからスマートフォンを取りした。 カメラを起し、画の撮ボタンを押す。
散乱した母の写真と割れた漆器。 玄関に置かれた妊婦の靴。 私のカーディガンを着たまま縮こまっている女の姿。
そして、唾をばして私を罵倒する義母の顔。
すべてを、無言でレンズに収めていく。
「な、何撮ってんのよ! やめなさいよ、気の悪い!」 義母がを伸ばしてスマートフォンを叩き落とそうとしてきたが、姉がその腕をたく払い除けた。
「触らないで。暴罪までねる気ですか?」 「くっ……浩司! 浩司に話しなさい!」
義母はポケットからスマートフォンをひったくるように取りすと、スピーカー通話で夫を呼びした。 数回のコールの、ハワイにいるはずの夫の、だるそうな声がスピーカーから響き渡った。
『もしもし、母さん? どうしたの、こっちはもう夜なんだけど』 「浩司! 変よ! 由美のやつが勝に病院を抜けして、に乗り込んできたのよ! 美穂さんを脅して、画まで撮って……!」
話の向こうで、舌打ちをする音がはっきりと聞こえた。
『……はあ? あの女、何考えてんだよ。おい、由美! そこにいるんだろ!』
夫の、気を孕んだ鳴り声がリビングに響く。 私はスマートフォンの録画を回したまま、義母の端末に向かって静かにをいた。
「ええ、いるわよ、浩司」
『お、いい加減にしろよ! 病院でおとなしくしてろって言っただろ! 母さんに荷物をまとめさせたのは俺だよ! 美穂の体に障るような真似したら承しねえぞ! 何度も言わせるな、そのはもう俺たちのマイホームなんだよ! おみたいな欠陥品が居座っていい所じゃないんだ! さっさと荷物持って実に消えろ!』