"「妹の祝いだ50万出せ」と言った夫の裏の顔" 第15話
「承しました。本は署まで任同し、厳注ので元引受を呼びます」
「引受なら、実の母親にお願いします。連絡先はこちらです」
私はあらかじめメモ帳にいておいた義母の話番号を渡した。 警察官はさく頷き、キャップの鍔に指を当てて礼した。
たい夜が、ほんのしだけ内の淀んだ空気を吹き払っていった。 ドアを閉め、ダブルロックをかける。 計の針は午零分を指していた。
今頃、実でぬくぬくと眠っていた義母の元に、夜の警察から話が鳴り響いているはずだ。 誇らしい男が、夜に妻のアパートを襲撃して警察に連されたという、耐え難い恥辱の報せとともに。
翌週の曜。 私の元に、弁護士から本の話が入った。
「由美さん、事態が急速にきましたよ」
受話器から聞こえる先の声は、勝利を確信した専特の質な響きを帯びていた。
「まず、奈緒の件です。彼女、弁護士をててきました。内容証を受け取って完全にパニックになったようです」
「……どんな主張をしてきていますか」
「『既婚者とはらなかった、騙されていた』の点張りでした。ですが、義母と同席して座で会していた録音、それから箱根の旅館で夫が親族の祝儀袋を広げていた写真のコピーを突きつけたところ、あっさりと旗をあげました」
広告
先が類をめくる音がする。
「彼女、夫から『妻とは完全にえ切っていて、々遺産を相続して会社を辞めて独する』と吹き込まれていたそうです。夫の借や銭トラブルに巻き込まれるのを極度に恐れていて、法廷闘争を避けるために示談の支払いに応じると言っています」
「額は」
「こちらの請求通り、満額の200万円を括で支払う条件でを取り交わします。夫への求償権も完全に放棄させます。これで、相女性との関係は完全に法なケリがつきます」
胃の奥にあった鉛のような塊が、さく溶けていくのをじた。 夫が「俺を癒してくれる運命の女」だとい込み、妹の結婚祝いまで貢ぎ尽くした相は、自分の保のためなら夫の首を平気で差しす女だった。 ただそれだけの、浅ましい関係。
「それから、夫さんの勤務先ですが……」
先の声が、段とくなった。
「妹さんの夫である田翔太さんのお父様が、役員会で正式に問題提起されたそうです。会社の経費の私流用疑惑、親族の祝儀の横領、そして勤務の適切な異性交遊による社信失墜。昨付で懲罰委員会がかれました」
「処分はどうなりましたか」
「営業課の役職を解任、格処分です。来付で、関の物流資材センターへの向が決まりました。
実質な遷ですね。収ベースで割くカットされる見込みです」
受話器を握る指先に、微かに力が入った。 夫が命より事にしていた「課」の肩き。 同僚を見し、妻を召使いのように扱い、族ので威張り散らすための唯の拠り所だったメッキが、完全に剥ぎ取られたのだ。
「夫さん本も、これ以の抵抗は能だと悟ったようです。今週曜の午、霞が関の公証役ですべての契約面にサインする旨、先方の弁護士から連絡がありました。妹さん夫婦も同席されます」
「分かりました。私も参ります」
通話を終え、元のシステム帳に予定をき込む。 曜、午。 10の沼に、自分ので徹な終止符を打つが決まった。
迎えた曜。 京の空は、いに覆われ、の気配を含んだたいがっていた。
指定された公証役の待にを踏み入れると、そこにはすでに先客がいた。
妹の美と、夫の翔太さん。 美は黒いシンプルなコートをにまとい、膝のに置いたバッグの持ちをい表で握りしめていた。 先週のような取り乱した様子はない。 その横顔には、自分の肉親の醜悪な本性を直し、決別を選んだ者だけが持つ、痛々しいほどの静けさが宿っていた。
私に気づくと、は同にちがり、々とをげた。
「お義姉さん……本当に、々とありがとうございました」