"「妹の祝いだ50万出せ」と言った夫の裏の顔" 第6話
「翔太さん、あんたもよ! 悔しくないの!? この血な嫁のせいで、せっかくの旅がパアになったのよ! 言ガツンと言ってやりなさい!」
「僕たちが今、問題にしているのは義姉さんのカードじゃありません」
翔太さんは義母のヒステリーを完全に無し、靴を脱いでがると、私に向かってくをげた。
「義姉さん、突然押しかけて申し訳ありません。……夫さんは、ここには戻っていませんか」
「ええ。朝から休勤だと言っててったきり、度も連絡はありません」
私がそう答えた瞬、背でリビングのドアが自然にカタッと揺れた。
全員の線が斉にそのドアに集まる。 私は無言でリビングへ歩をめ、ドアを勢いよく引きけた。
そこにいたのは、会社にっているはずの夫――夫だった。
スーツの着を脱ぎ捨て、ワイシャツの襟元をだらしなく緩めた姿で、キッチンのカウンターのにを潜めていたのだ。 には缶ビール。 私たちが玄関で言い争っている、息を潜めてやり過ごそうとしていたらしい。
「……あ」
夫のから、抜けな声が漏れた。 その顔には、先ほどまでの威張り散らした態度はを潜め、逃げを失ったネズミのような卑屈な怯えが浮かんでいた。
「……なんだよ、みんなして押しかけてきて」
夫はバツが悪そうに缶ビールをテーブルに置き、ソファに腰をろした。
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だが、その線は泳ぎ、誰とも目をわせようとしない。
「あんた、会社はどうしたのよ」
私がたく問いかけると、夫はを掻きむしりながら吐き捨てた。
「急に腹が痛くなって途で引き返してきたんだよ! 文句あるか! それより美、おらなんでここにいるんだよ。空港で適当に当枠のチケット買い直してけばよかっただろ」
その無神経極まりない言葉に、美が喉の奥からヒッと息を呑んだ。
「買い直す……? お兄ちゃん、今なんて言ったの? 当枠のチケットを買い直せって言ったの?」
美の肩が、刻みに震え始める。
「そんなお、どこにあるのよ! 私たちの持ちのおは……翔太さんの親族からいただいたお祝いの40万は、先週全部お兄ちゃんに渡したじゃない!」
リビングの空気が、ピンと張り詰めた。
義母が瞬、きょとんとした顔をして美と夫を見比べた。
「美……? 40万って、何の話よ。あんたたち、旅代は全部夫が会社のツテでく配してくれるって言ってたじゃないの」
「そうよ! だからその配費用として、私たちの元の40万をお兄ちゃんに預けたの! 『40万預けてくれれば、会社の特別ルートで70万相当のスイートとを完璧に押さえてやる』って、お兄ちゃんが自分から言ってきたんじゃない!」
美の叫び声に、夫の喉仏がきくした。
私はテーブルを挟んで、夫の正面にった。 腕を組み、徹な声で言葉を落とす。
「夫さん。説して」
「……あ?」
「美ちゃんから受け取った40万円はどこにあるの? そして、なぜ3、お義母さんに私の財布から50万円を奪わせようとしたの?」
夫はあからさまに目を背けた。
「……だから、配の総額が予定よりくなったから、差額をて替えてもらおうとしただけだろ」
「計算がわないわね」
私はスマートフォンの卓アプリを起し、画面を夫の目のに突きつけた。
「美ちゃんが渡した40万。そして、私から無理やり奪おうとしたカードの決済枠50万。計で90万円よ。の3泊4の婚旅に、90万円もかかるわけがないでしょう。それに、旅会社の回答は『期の付すら未払いで自キャンセル』だったそうじゃない。美ちゃんから預かった40万円は、1円も旅会社に支払われていなかった。……その40万円は、今どこにあるの?」
数字による完全な包囲。 経理として々、使途を暴きててきた私の尋問に、夫の額からタラリと嫌な汗が流れ落ちた。
「そ、それは……々と段取りがあってだな……」
「段取りって何よ! 領収を見せなさいよ!」
美が泣き叫びながらテーブルに詰め寄った。
「翔太さんのおじさんやおばさんが、私たちのこれからの活のためにって包んでくれた切なおなのよ! それを全部お兄ちゃんに渡したの! なのにもホテルも全部嘘で……! 空港のカウンターで、私たちがどんな顔でってたか分かる!? 『おを払っていないお客様の席はございません』って、勢のので言われた私の気持ちが分かるの!?」