"「妹の祝いだ50万出せ」と言った夫の裏の顔" 第4話
話にないなら仕事でしょう。それより、空港で何があったの? カードの件なら、事に止めたと伝えたはずだけど」
「違うの! お義姉さんのカードの話じゃないの!」
美の鳴のような叫びが、スピーカーの向こうから突き刺さった。
「お兄ちゃん、昨の夜、翔太さんのところにわざわざ連絡してきたのよ! 『由美のカードが使えなくても配するな、俺が旅代理のりいを通じて、全部社割の特別ルートで配しておくから』って……! 『ホテルもも、俺が決済済ませておくから、おらはぶらで空港にけばいい』って言ったの!」
「……は?」
私のので、警告音がけたたましく鳴り響いた。 夫が配した? がないと喚いていたあの夫が?
「それで、カウンターで何が起きてるの」
私の静かな問いに、美はしゃくりあげながら、途切れ途切れに言葉を絞りした。
「航空会社のカウンターで……『予約は入っておりましたが、所定の期までに旅代の期決済が確認できなかったため、規定に基づき自キャンセルとなっております』って言われたの……! ホテルも、レンタカーも、全部……全部キャンセルされてるって……!」
血の気が引いていくのが分かった。 未払いによる自キャンセル。 旅代理で仮押さえだけをしておき、本決済の期を引き延ばした末に放置したの、典型な結末。
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「そんなはずないって翔太さんがカウンターで掛けってくれたけど……旅会社の本部から『入が切確認できていない』って類見せられて……! 周りのたちみんな私たちを見てるのよ! 『も払わずに乗ろうとしたのか』って目で見られて……っ!」
美のプライドのさはよくっている。 勢の搭乗客がき交う羽田の発ロビーで、未払いを理由に搭乗を拒否される屈辱。 それがどれほど彼女を打ちのめしているかは像がついた。
だが、私の考は別の点へ急速に向かっていた。
待って。 何かがおかしい。
夫は元にがないと言っていた。 なら、なぜそんな杜撰な嘘をついてまで、美夫婦に「俺が配する」などと請け負ったのか? なぜ、支払える見込みのない予約をわざわざ引き受けたのか?
「美さん、つだけ確認させて」
私は声をく沈め、極めて事務な調で尋ねた。
「あなたたち、自分たちの旅資はどうしたの? 最初に計画していたの予算があったはずでしょう」
受話器の向こうの空気が、凍りついたように止まった。 美の激しい嗚咽が、喉の奥で詰まる音が聞こえる。
「……え」
「あなたと翔太さんの貯、あるいは結婚のお祝いで集まったお。それはどうしたの」
い、苦しい沈黙。 やがて、美のから漏れたのは、蚊の鳴くような、震え切った告だった。
「……渡したの」
「誰に」
「お兄ちゃんに……先週、渡しで……」
背筋に、氷を流し込まれたような悪寒がった。
「いくら渡したの」
「……40万」
「……」
「先の結婚式で……翔太さんのご親族からいただいたお祝いから、40万円……。『俺が配すれば、会社の福利の枠を使って、同じ40万でもファーストクラス並みのツアーに化けさせてやる』って……お兄ちゃんが言ったから……」
40万円。 婚の夫婦が親族から受け取った、切な祝儀の現40万円。
それを、夫はとっくに受け取っていた。
私のので、散らばっていたピースが瞬で音をてて噛みっていく。
夫は、美から40万円の現を預かっていた。 それなのに、旅の配に必な決済を切っていなかった。 そして、――義母を使って、私の財布から「50万円」を奪い取ろうとした。
なぜ? 妹から預かったはずの40万円は、どこへ消えた? なぜ、私のカードからさらに50万円を決済させようとしたのか?
答えはつしかなかった。
夫は、妹から預かった40万円を、すでに別の何かに使い果たしていたのだ。 そして、旅会社の決済期が迫る、自分の横領を隠蔽するために、私のカードを使って穴埋めをしようとした。
「……お義姉さん? 聞いてる? お願い、お兄ちゃんを捕まえてよ……!」
美の泣き声がく聞こえる。 その、話の向こうでガサガサと激しいノイズがり、荒々しい男の声に切り替わった。
「――もしもし! 義姉さんですか! 田です!」
美の夫、翔太さんだった。