"「中絶して逃げた」元妻が連れていた、七歳の双子" 第9話
「苦労はしましたよ!」 由美の叫びが、の駐に響き渡った。
「ぬほど苦労しましたよ! 夜に子供が同にをして、座薬を入れて、えピタを貼って、朝までもできずにそのまま仕事にったが何あったとう?! おがなくて、スーパーの見切り品の納豆ともやしで何もいつないだわよ! 自分の歯の治療費がせなくて、痛み止めをんで誤魔化し続けたわよ!」
由美の肩が、激しくした。 だが、その目から涙は滴もこぼれていなかった。 泣くことすらとうに忘れてしまったかのように、その差しはく、固だった。
「でもね、佐藤さん。私たちは度だって、みじめだなんてったことはない」
由美は、のに落ちた私のカードを、たく見ろした。
「私たちは、私の力で、私の稼いだおで、今まできてきたの。政の窓にをげて、当をもらって、姉に助けてもらいながら、を必に積みねてきたのよ。あの子たちはね、古着を着ていても、毎笑って『お母さん好き』って言って抱きついてくれるわ」
由美の線が、再び私の眉を射抜いた。
「それを……何? 、母親のスカートのに隠れて、ぬくぬくと温かい部で暮らしていたあなたが、急に現れて『助けてやる』?」
喉が詰まり、声がない。
「冗談じゃないわ」
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由美は歩、私にづいた。 その瞳に宿る圧倒なに気圧され、私は無識に半歩ずさりした。
「あなたがしたいのは、私たちの救済じゃない。自分の罪悪を消すための、ただの自己満よ」
「違う、俺は本当に……!」
「おを払って、認届をして、『責任を果たした派な父親』になって、自分を許したいだけでしょ? 母親のせいで被害者だったな僕が、今度は族を救うヒーローになりたいだけでしょ?!」
言言が、私の肺腑を正確に抉り抜いていく。 反論できない。 否定したくても、の底の最も醜い部分を、由美は完璧に見抜いていた。
そうだ。 私は、救いたかったのではない。 救うことで、この耐え難い悔と自己嫌悪から、自分が救われたかったのだ。
「あの子たちの戸籍に、父親の名がないままが過ぎました」
由美はたい声で、決定な事実を宣告した。
「拓と美咲の父親は、にんだんです。私たちを捨てたに、この世から消えたの」
「由美……」
「私たちのは、もう完成しているのよ。欠けたピースなんて最初からどこにもないの。そこに、今さら自分を許したいだけのが、で割り込む余なんてありません」
由美は自転のスタンドを払い、ペダルにをかけた。 がね、私のスラックスの裾を汚した。
「認の続きは、弁護士をててください。
養育費の算定表に基づいた額なら、法に受け取ります。それはあの子たちの権利だから。でも」
由美はサドルに跨り、度だけ、私の顔を正面から見据えた。
「度と、父親の顔をして私たちのに現れないで。それが、あなたがに見殺しにした私たちに対する、唯の『償い』です」
ペダルが踏み込まれ、錆びたチェーンがキリキリと音をてた。 古びた自転は、激しさを増す夜ののへと、迷いなくりっていった。
ざかる赤いテールランプ。 しぶきをげながら、さくなっていく背。
私は、のにち尽くしていた。 元には、に塗れたキャッシュカードと、びしょ濡れになったの束。
拾いげる気力すら湧かなかった。
たいが、容赦なく私のからスーツへと染み込んでいく。 体の芯から震えが止まらない。 だが、その寒さは、のせいではなかった。
『私たちのは、もう完成しているの』
由美の言葉が、の奥で、呪いのように反響し続けていた。
取り返しのつかないことをしたのだ。 というは、謝罪や切枚で巻き戻せるような、浅い溝ではなかった。 私は、族を失ったのではない。 族を、私ので、に完全に殺したのだ。
その、ポケットので、再びスマホがく震えた。
画面を見ると、親友であり弁護士の浩司からのメッセージが表示されていた。
『おの母親の件、興信所から追加の報告ががってきた。