"「中絶して逃げた」元妻が連れていた、七歳の双子" 第4話
あんたはのくせに、子供のために実をてアパートを借りるって言いしたでしょうが。私をこの広いにきりで残して、あの貧乏くさい女とみじめな活を送るつもりだったのよ!」
「お……自分のために、俺の子を……族を殺したのか?」
「殺してないわよ! 現にきてピンピンしてるじゃないの!」 母は嘲笑するようにを鳴らした。
「謝してほしいくらいね。あんな来損ないの嫁、さっさと切って正解だったのよ。あんたにはもっとちゃんとした、私の面倒をしっかり見てくれる柄のお嬢さんがお似いなの。全部あんたのためをって――」
「黙れッ!!」
私はちがり、元にあった箱をに叩きつけた。 ガシャンと凄まじい音がして、通帳や類が畳のに散らばる。 母がビクッと肩をねげ、恐怖に目を瞠った。
私は呼吸を荒らげながら、散らばった類のから、枚のを拾いげた。
に区役所から届いた、婚届の受理証の控え。 そこには、私の実印が、鮮な朱で押されていた。
その赤い印を見た瞬、の奥で何かが弾けんだ。
そうだ。 母が嘘をついた。 母がを隠し、話を遮断した。
だが――。
なぜ私は、、由美の実に度もを運ばなかった? なぜ私は、真理さんの連絡先を調べようともしなかった? なぜ私は、「浮気しておろした」
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という母親のあまりにも雑な嘘を、度も疑わずに受け入れた?
張が忙しかったから? 精神に参っていたから?
違う。
面倒だったのだ。 ヒステリックに泣き叫ぶ母を宥めるのも、傷ついてを閉ざす妻と向きうのも、すべてが億劫で、逃げしたかったのだ。 母の嘘は、私が「被害者」の座にし、責任から逃れるための、最に都のいい隠れ蓑だったのだ。
に落ちたの文字が、涙で滲んで歪む。 『あなたはこの子たちを認せず、由美を見捨てるおつもりなのですか?』
見捨てたのだ。 母が引きを引いた銃を、私が由美に向けて撃ち放ったのだ。
その、リビングの固定話が、けたたましく鳴り響いた。
静まり返ったのに、子音が酷に刻まれる。 母がハッとして、逃げるように部をて階段を駆けりていった。
私は濡れたを胸ポケットに押し込み、ふらつく取りで母のを追った。 リビングに入ると、受話器を取った母が、元を押さえながら顔面を蒼にしていた。
「あ、あの……真理さん……? どうしてこの番号を……」
相の名を聞いた瞬、私は母のから受話器を奪い取った。
「もしもし! 健です!」
受話器の向こうから返ってきたのは、の歳をび越えて叩きつけられた、氷のようにたく、研ぎ澄まされた女の声だった。
『……佐藤健さんですね。
病院で妹と子供たちに接触したそうですね』
「真理さん、俺は……俺は何もらなかったんです! 母がを隠していて、さっき全部――」
『言い訳を聞くために話したんじゃありません』
真理さんの声は、私の浅ましい弁解を容赦なく切り裂いた。
『妹は今、過呼吸を起こして寝込んでいます。子供たちも怯えてれません。これ以、あのたちを壊さないで』
「謝らせてください! 会って、俺ができる限りのことを――」
『、午。駅の喫茶に来てください。由美は連れてきません。私ができます』
真理さんはく息を吸い、受話器越しに、最の撃を撃ち込んできた。
『、あなたが母親の背に隠れて見殺しにしてきたものの清算を、そろそろしていただきます』
ツーツーという酷な通話終音が、私のの奥にこびりついてれなかった。
駅の喫茶に入ったのは、約束の分だった。
のが首筋に当たり、胃の奥がきしむように痛む。 注文したブラックコーヒーは、湯気をてることもなく、ただ黒く濁った面を晒していた。 指先がたく、スプーンを握る力が入らない。
自ドアのベルが、く鳴った。
入ってきた女性の姿を認めた瞬、背筋が直した。 真理さんだ。 と変わらない、細のスーツにを包んだ佇まい。
だが、その目元には隠しようのない険しさと、私に対する剥きしの敵が刻まれていた。
「お待たせしました」